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大論争の「トイレ問題」と「東京オリンピック」の共通点とは?
何かと世間を騒がせているアメリカのトランプ大統領ですが、ノースカロライナ州の通称「トイレ法」に関する騒動は知っていますか。
このニュースは日本ではあまり話題になりませんでしたが、実は、その話題にならなかったこと自体が日本社会のある実相を物語っています。さらに、「トイレ問題」は、2020年の東京オリンピックとも切っても切れない関係にあるのです。
米国のトイレと東京オリンピックがどうして結びつくのか。以下、『封じ込められた子ども、その心を聴く―性同一性障害の生徒に向き合う』(中塚幹也著、ふくろう出版)を参考に解説していきます。
それに対して、2016年4月、大統領選で共和党候補指名を目指していたトランプ氏は、差別的な「トイレ法案は不必要」と宣言しました。
ところが、大統領選の途中からは保守派を配慮してか、「州が決めるべき問題」として見解を修正し、大統領就任後には前オバマ政権の遺産(レガシー)ともされる「心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒・児童を保護する法律」を撤回すると発表、リベラル派からは強く批判され、全米で論争となりました。
先述した通り、米国では論争となったトイレ問題が、日本において大きく取り上げられることはありませんでした。このことは、日本社会の性的マイノリティに対する無関心ぶりを表しているといえるでしょう。
当然ながら、差別は当事者を深く傷つけます。しかし、「無関心」も同じくらいに、彼らが幸福に生きることの障壁になると、中塚氏は強調しています。
これは「日本人の約一三人に一人という割合」になります。また、その割合は「左利きの人と同じくらい」「AB型の人と同じくらい」ともいわれています。
他方で、2014年にはじめて行われた文部科学省の調査によると、2013年4月~12月に学校で対応していた性同一性障害と考えられる子どもは、小中高あわせて合計で606人でした。ただし、子どもは「変な目で見られるのでは」「いじめられるのでは」という思いから、気持ちを「封じ込める」傾向が強いため、この数値が実態を表しているということはできないでしょう。
そのため、大会の主催者がどのような見解を示すかが注目されます。「米国では、ミネソタ州やアリゾナ州において、高校生の性同一性障害当事者が心の性で一部の競技に出場することが認められたことが報道されました」。
こうした中で、2020年の東京オリンピックにおいて、日本あるいは東京都がどのようなヴィジョンを示すのか、たいへん気になるところです。
繰り返しになりますが、中塚氏はマジョリティの側が変わらなければ、LGBT、性的マイノリティ当事者の幸福はあり得ないと強調しています。東京オリンピックを契機に、「性にもダイバーシティがあること」「みんなちがっていてもいい」という認識が日本中に広がっていくことを期待したいです。
このニュースは日本ではあまり話題になりませんでしたが、実は、その話題にならなかったこと自体が日本社会のある実相を物語っています。さらに、「トイレ問題」は、2020年の東京オリンピックとも切っても切れない関係にあるのです。
米国のトイレと東京オリンピックがどうして結びつくのか。以下、『封じ込められた子ども、その心を聴く―性同一性障害の生徒に向き合う』(中塚幹也著、ふくろう出版)を参考に解説していきます。
トランプ大統領の「トイレ法」騒動
2016年、ノースカロライナ州は「身体の性」と一致するトイレの利用を義務づける法律を可決しました。このトイレ法案は、「身体の性」と「心の性」が一致しないLGBTの存在を差別しているとして「反LGBT法」とも言われています。それに対して、2016年4月、大統領選で共和党候補指名を目指していたトランプ氏は、差別的な「トイレ法案は不必要」と宣言しました。
ところが、大統領選の途中からは保守派を配慮してか、「州が決めるべき問題」として見解を修正し、大統領就任後には前オバマ政権の遺産(レガシー)ともされる「心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒・児童を保護する法律」を撤回すると発表、リベラル派からは強く批判され、全米で論争となりました。
「無関心」が幸福の壁になる
米国のトイレ問題の顛末は、同書に詳しく述べられています。著者であり、岡山大学ジェンダークリニックの医師として、また、GID(性同一性障害)学会理事長として、性同一性障害の啓発活動に熱心に取り組む中塚幹也氏は、最後に「アメリカでは性的マイノリティ、LGBTについての課題は、良くも悪しくも政治問題として取り扱われます」と結んでいます。先述した通り、米国では論争となったトイレ問題が、日本において大きく取り上げられることはありませんでした。このことは、日本社会の性的マイノリティに対する無関心ぶりを表しているといえるでしょう。
当然ながら、差別は当事者を深く傷つけます。しかし、「無関心」も同じくらいに、彼らが幸福に生きることの障壁になると、中塚氏は強調しています。
LGBTは「左利きの人と同じくらい」いる
電通ダイバーシティ・ラボや博報堂DYグループのLGBT総合研究所、日本労働組合総連合会などの調査を総合して割り出すと、日本人のおよそ8%がLGBT、性的マイノリティであることが分かります。これは「日本人の約一三人に一人という割合」になります。また、その割合は「左利きの人と同じくらい」「AB型の人と同じくらい」ともいわれています。
他方で、2014年にはじめて行われた文部科学省の調査によると、2013年4月~12月に学校で対応していた性同一性障害と考えられる子どもは、小中高あわせて合計で606人でした。ただし、子どもは「変な目で見られるのでは」「いじめられるのでは」という思いから、気持ちを「封じ込める」傾向が強いため、この数値が実態を表しているということはできないでしょう。
東京オリンピック
冒頭で述べた通り、性同一性障害は「東京オリンピック」とも大きく関連します。「国際オリンピック委員会(International Olympic Committee:IOC)は一定の条件下で性同一性障害の選手の出場を認めています」。ただし、国内外含めて、「中学生や高校生の公式のスポーツ競技大会への出場に関しては、統一した見解は見られません」。そのため、大会の主催者がどのような見解を示すかが注目されます。「米国では、ミネソタ州やアリゾナ州において、高校生の性同一性障害当事者が心の性で一部の競技に出場することが認められたことが報道されました」。
こうした中で、2020年の東京オリンピックにおいて、日本あるいは東京都がどのようなヴィジョンを示すのか、たいへん気になるところです。
繰り返しになりますが、中塚氏はマジョリティの側が変わらなければ、LGBT、性的マイノリティ当事者の幸福はあり得ないと強調しています。東京オリンピックを契機に、「性にもダイバーシティがあること」「みんなちがっていてもいい」という認識が日本中に広がっていくことを期待したいです。
<参考文献>
封じ込められた子ども、その心を聴く―性同一性障害の生徒に向き合う(中塚幹也著、ふくろう出版)
http://www.296.jp/books/data_books/t1501583556/index_html
<関連サイト>
岡山大学大学院 中塚研究室ホームページ
http://www.okayama-u.ac.jp/user/mikiya/
封じ込められた子ども、その心を聴く―性同一性障害の生徒に向き合う(中塚幹也著、ふくろう出版)
http://www.296.jp/books/data_books/t1501583556/index_html
<関連サイト>
岡山大学大学院 中塚研究室ホームページ
http://www.okayama-u.ac.jp/user/mikiya/
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