『ベラスケスのキリスト』を読み解く
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なぜ日本人は「霊性文明」を引っ張ることができるのか
『ベラスケスのキリスト』を読み解く(13)日本と霊性文明
考察と随想
執行草舟(実業家/著述家/歌人)
「霊性文明を引っ張れるのは日本だけ」とマルローは述べている。かつて霊性文明に限り無く近づいた歴史を日本が持っていたからである。かつての日本では、師弟関係においても、ほとんどしゃべらなかったといわれる。なるほど、沈黙が長ければ長いほど、声にはより大きな宇宙エネルギーが入る。日露戦争では大山巌も、東郷平八郎も乃木希典も多くをしゃべらなかった。まさに霊性文明におけるリーダーのあり方ともいえる。また、大英帝国の時代のイギリスの名門校では鉄拳制裁も激しかったが、それが最も高貴なものを生み出した部分もあるのは興味深い。(全13話中第13話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分18秒
収録日:2022年8月2日
追加日:2022年12月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本が達成していた霊性文明は、すごいレベルだった


執行 『ベラスケスのキリスト』から出てくる霊性文明とは、わかりやすく言えば日本の縄文文明です。だから日本は縄文文明に戻れない限り、滅びるということです。ヨーロッパでは、わかりやすく言ってしまえば、ケルト文明で、ほとんど一緒です。

 だからおそらく新しい文明は、すごく泥臭くて土着的だと思います。土着的ということは、今の反対。情報遮断。地域的であり、泥臭い。

―― そういう意味で先生が言われた江戸の終わり頃は、けっこういいところまで行っていたわけですね。

執行 行っていました。地域社会もそうですから。

―― 地域社会ですね。

執行 全部、封建で、地方に分散していて。日本が達成していた霊性文明は、そういう見方で見るとすごいレベルです。世界中、ほかにありません。だから日本人は霊性文明を引っ張れる。これはアンドレ・マルローもはっきり言っています。本にも書いてあります。竹本先生にも、そう言っていました。日本の文明を見て、芸術を見て、「霊性文明を引っ張れるのは日本だけだろう」と。

―― 霊性文明とは、そういうことなんですね。

執行 そうだと思います。ある程度、80%方やったことがあるのだから、絶対できます。

―― 確かに近いところまで来ていたわけですね。

執行 日本はすごいです。歴史を見ると驚きます。だって、師と弟子、いろいろな偉い人の書いた先生と弟子、永久に尊敬する「恩」の関係もそうです。先生から声をかけられた思い出を書いている人でも、何かのときにひと言。それが一生に1回あったというのが、ほとんどです。

―― だから覚えているわけですね。

執行 私はそう思います。また言葉になっていないから、先生をすごく崇拝できる気がします。

―― 日常的に声をかけていたら、崇拝にならなくなりますね。

執行 それから声自体に沈黙がなくなってくるのだと思います。長い沈黙があればあるほど、声の音声の中にすごい宇宙エネルギーが入る。私はずっと見ていて、そう思います。

―― でも生き方を持っていないと、沈黙にもならないです。

執行 それはそうですね。単なる無口、ただのだんまりではだめですから。

―― 今は全部数字で表したり、可視化しようとしたり、ただひたすら成長しろと言ってみたり。そうすると、ものを考えない家畜みたいな人がいっ...