テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.11.01

「悩みごと」の多い都道府県は?

SDGsから見えてきた各都道府県の悩み

 みなさんは「SDGs(Sustainable Development Goals)」をご存知でしょうか。これは2015年の国連サミットで定められた、2016年から2030年までにすべての国が目ざすべき17のゴールと169のターゲットのこと。もちろん日本も参加しており、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。少しわかりづらいですが、全世界がこれからも続いていくための条件をまとめたものといえるでしょう。

 地域ブランドなどの研究やコンサルティングを行うブランド総合研究所は、このSDGsをより日本の状況になじませた「地域版SDGs」を開発し、各都道府県の住民350人ずつ、計1万6千人にアンケートして、各地の住民が感じている悩み、満足度、定住意欲度などを集計しました。その結果わかった「悩みの多い都道府県」トップ10と悩みの数は以下の通り。カッコ内が悩みの数(単位・個)です。

1位:秋田県(4.26)
2位:茨城県(3.96)
3位:徳島県(3.95)
4位:岩手県(3.93)
4位:山形県(3.93)
6位:静岡県(3.90)
7位:福島県(3.80)
8位:宮崎県(3.75)
9位:青森県(3.74)
9位:鳥取県(3.74)

 1位の秋田県をはじめ、岩手県、山形県、福島県、青森県と、東北地方勢が上位を占めました。秋田県は「低収入・低賃金」の悩みが46%にものぼり、半数近い人が悩んでいることが見て取れます。

住民の具体的な悩みとは

 それでは、日本全体の住民は具体的にどんなことに悩んでいるのでしょうか。地域版SDGsに設定された48項目から選ばれたトップ10を見てみましょう。カッコ内がその項目を選んだ人の割合(単位・%)です。

1位:低収入・低賃金(35.8)
2位:ストレス(28.7)
3位:貯蓄・投資(28.6)
4位:運動不足(23.4)
5位:税金・社会保険の負担(15.6)
6位:借金・ローン(15.2)
7位:体調不良(13.9)
8位:花粉症(12.2)
9位:持病・難病(11.4)
10位:物価上昇(10.9)

 1位はやはり低収入・低賃金でした。秋田県の46%はかなり高いですが、日本全体で見ても35.8%と断然に高い数値になっています。選択した悩みの中で「特に深刻に感じている」ものでも、低収入・低賃金は23.8%で1位になっており、早急に解決すべき問題であることがわかります。

 実は、トップ10はすべてSDGsのゴールで重要性が高い「1・貧困」と「3・健康・福祉」に関連する項目。SDGsは開発途上国の課題を解決するために2015年を達成期限としたMDGs(Millennium Development Goals)を引き継いで設定されたものですが、その中で重要性が高い項目に日本人が悩んでいる現状を見ると、日本は先進国とは言い難いのかもしれませんね。

もちろん悩みが少ない都道府県もある

 しかし、地域版SDGsで「不安や悩みはない」と答えた人も全体で16.8%います。悩みが少ない都道府県にも特徴があるのでしょうか。先ほど挙げた「悩みの多い都道府県」は、下の順位になるほど悩みの数が少ないということになるので、この47位から43位までを見てみましょう。

47位:愛知県(2.51)
46位:神奈川県(2.74)
45位:大阪府(2.82)
44位:山口県(2.86)
43位:兵庫県(2.87)

 一番悩みが少ない都道府県は愛知県でした。愛知県は「不安や悩みはない」という回答が全国平均を上回る27.4%あり、全国で最も高い数値が出ています。愛知県といえば大都市・名古屋がすぐ浮かびますが、愛知県に続く神奈川県や大阪府、さらに41位に入っている東京都など、大都市圏を擁する都道府県ほど悩みが少ない傾向にあるようです。

 また、満足度が最も高い都道府県は66.4%の千葉県、定住意欲度が最も高い都道府県は84.2%の北海道という結果に。これらの数値が低い都道府県は「電車やバスの路線廃止・減便」や「病院・医療機関の不足」に不満を抱いていることが多いです。特に日本は自然災害が多く、今後は高齢化がさらに進むことを考えれば、インフラや医療体制の充実も持続可能な社会の実現に重要ですよね。都市と地方の格差が埋められ、すべての都道府県の悩みが解消されることが期待されます。

<参考サイト>
・地域ブランドNEWS 貧困と健康・福祉が悩み。20%は生活に不満、13%が移住意向~地域版SDGs調査2019~
https://news.tiiki.jp/articles/4414
・外務省 SDGsとは?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
・World Vision 持続可能な開発目標(SDGs)
https://www.worldvision.jp/children/sdgs.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは

日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは

日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層

日本経済はこの20~30年行き詰まりの状態にある。理由としては、会社の多角化によって生まれた各事業部の規模が小さすぎることが挙げられる。また、「技術があればいい」というマーケット軽視の姿勢も理由の一つだ。日本と業態...
収録日:2020/10/28
追加日:2020/12/27
西山圭太
東京大学未来ビジョン研究センター客員教授
2

ヒトラーに影響を与えた地政学の父・ラッツェル「生存圏」

ヒトラーに影響を与えた地政学の父・ラッツェル「生存圏」

地政学入門 歴史と理論編(5)地政学理論の先駆者たち

地政学の理論は、歴史的な事象の読み解きを可能にするだけでなく、同時代的な軍事的動向にも影響を与えていた。今回はその先駆的な提唱者として、アルフレッド・マハン、フリードリッヒ・ラッツェル、ハルフォード・マッキンダ...
収録日:2024/03/27
追加日:2024/05/28
小原雅博
東京大学名誉教授
3

人間だけが大人になっても「学び」を持続できる

人間だけが大人になっても「学び」を持続できる

「学びたい」心のための環境づくり

人生を豊かに、充実したものにするために、必要不可欠なスパイスとなるのが「好奇心」であることを否定する人はいないだろう。しかし、この「好奇心」は、進化生物学見地からすると、どのように考えられるのだろうか。行動生態...
収録日:2018/02/14
追加日:2018/05/01
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
4

ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る

ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え

2016年ノーベル医学・生理学賞の受賞テーマである「オートファジー」とは何か。私たちの体は無数の細胞でできているが、それが日々、どのようなプロセスで新鮮な状態を保っているかを知る機会は少ない。今シリーズでは、細胞が...
収録日:2023/12/15
追加日:2024/03/17
水島昇
東京大学 大学院医学系研究科・医学部 教授
5

有漏の善根では駄目…「商人日用」に学ぶ商売の心得

有漏の善根では駄目…「商人日用」に学ぶ商売の心得

石田梅岩の心学に学ぶ(8)鈴木正三『万民徳用』を読む(下)

江戸初期の商人は利を求めるのに忙しく、信心と離れた存在だと自らを卑下していたようだ。鈴木正三は『万民徳用』の「商人日用」において、彼らに対し、利益を追求するには「身命を賭して、天道に抛(なげうっ)て、一筋に正直...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/05/27
田口佳史
東洋思想研究家