本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日露戦争までとまるで違う? 日本軍を驚かせた戦争の近代化
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(17)四個師団廃止と軍の近代化を進めた日本
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
第一次世界大戦で一気に近代化された戦争のことを日本人は知らなかった。ヨーロッパの戦場では、戦車のみならず毒ガスや火炎放射器、飛行機が登場し、それまでとは戦争そのものが一変していたのだ。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第二章・第17話。
時間:5分04秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月20日
≪全文≫
 さて、ワシントン軍縮条約やロンドン軍縮条約など、世界で軍縮が大きな流れになっていた当時、実は日本では軍縮への志向がアメリカやイギリスよりもずっと強かった。

 すでに進水を終えていた新鋭戦艦土佐を実験艦にして、魚雷や砲弾を浴びせて沈めたり、第一次・第二次加藤高明内閣(大正13年〈1924〉6月11日~15年〈1926〉1月30日)で陸軍大臣を務めた宇垣一成大将が、いわゆる宇垣軍縮で陸軍四個師団(高田、豊橋、岡山、久留米)を廃止したりしている。

 宇垣軍縮について、それだけの兵力を、いきなり見えるかたちで削減することは反軍的だという批判もあったが、当時の世論はその政策を非常に歓迎した。

 四個師団廃止といわれても、われわれにはピンとこないが、平時における師団の定員は1万人ぐらいだったから、当時の人にとっては相当大きな出来事だった。実際、四個師団の廃止によって、合計3万3894人が整理されている。師団の存在は町の誇りということもあったし、その地域の経済のことを考えても、消費を専門とするような数千人から1万人近くの人間がいなくなってしまうことは大きな痛手である。師団が廃止されることでその町が受ける影響は、ことのほか大きかった。キャリアや栄達を求めて軍人になった将校たちも、約2千人が失職している。

 何より悲愴感が漂うのは軍旗返納式である。軍旗は初めて連隊が編制されたときに授与されるもので、連隊長と連隊旗手、および4人の将校と1人の指揮官の7人で天皇陛下から直接受領した。軍旗は部隊の象徴で、この軍旗のもとに皆が命を捧げるという意味があったのである。だから師団廃止にともない連隊が廃止され、軍旗を返納する際、皆が涙を流した。

 しかし、軍縮を進めた宇垣陸相は馬鹿ではなかった。師団廃止で浮いた経費で航空部隊や戦車部隊を編制し、軍の近代化を推進した。また四個師団を削減する代わりに、学校教練を義務化し、定員外になった現役将校を配属将校として中学校以上に配置したのである。それまでは学校での軍事教練は行なわれていなかった。

 当時、日本軍は近代化が非常に遅れていた。一例を挙げれば、第一次世界大戦で初めてタンク(戦車)が実戦に投入されたが、海外の新聞記事に「タンク」と出ていても、誰もそれが何なのかわからない。軍中央に問い合わせてもわからないので、最初から日本語で「タ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部