本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
石井・ランシング協定、九カ国条約…日本の最善手は?
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(13)なぜ「九カ国条約」を見直さなかったか
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
1922年、ワシントン会議にて締結された九カ国条約は、日本の中国進出を抑制するもので、これにより、中国での特殊権益を認めた石井・ランシング協定は破棄され、以降、国際社会はワシントン体制と呼ばれる中国権益の侵害を忌む傾向に向かった。そして、この条約には見直し条項がなかった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第二章・第13話。
時間:5分55秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月20日
≪全文≫
 石井・ランシング協定に話を戻すと、私の家で働いていたお手伝いさんが娘の頃に、石井菊次郎大使の家で小間使いをしていた。そこで私は彼女から石井菊次郎の話をいろいろ聞こうと思ったが、彼女は石井菊次郎の家にいたとき、まだ田舎出の少女だったから、内容のある話は聞けなかった。

 石井・ランシング協定の根底には、アメリカおよびヨーロッパ両大陸の相互不干渉原則であるモンロー主義があった。石井大使は「アメリカは南米の端までモンロー主義だ」といっている。もちろん日本は、アメリカ大陸のことには口出ししない。一方、日本はシナに近いから特別な利害関係があっても当たり前で、相互に口出ししないと、アメリカは認めたのだ。

 ところがランシング国務長官は、本当はシナ派だったようである。彼は、シナ人の移民問題でシナ政府を擁護したり、日清戦争後の下関講和会議などでたびたびシナの代理人を務めたジョン・フォスター元国務長官の娘と結婚している。そのためランシング国務長官は家族を挙げて、シナがらみで利益を得ていた可能性もある。

 現代においてシナ問題を考える場合も、シナで儲けている人間が非常に多いということを、われわれは忘れてはならない。もう少し時代が近いところでは、日本との開戦を決断したルーズベルト大統領がその典型だ。フランクリン・デラノ・ルーズベルト、すなわちFDRの「D」が重要で、デラノ家はオランダ系の麻薬王として知られ、アヘン貿易で財をなしていた。だからアヘンの一大市場だったシナに対して、非常に深い愛着心を持っていたのである。

 先ほども述べたように、石井・ランシング協定は九カ国条約の発行とともに破棄され、そしてその後の上海事変、満洲事変、シナ事変などで、日本は九カ国条約に違反したという理由で、つねに批判の矢面に立たされることになった。

 日本はとてもやり切れなくなって、シナ事変後に九カ国条約を事実上破棄している。戦後の歴史の専門家にいわせると、けしからんという話になるが、筋の通らない条約から脱退するのは、欧米でも珍しいことではない。

 だいいち、条約は何年という期間を定めて内容を見直すのが普通で、日英同盟も5年後、10年後、20年後とたびたび見直されてきた。ところが、九カ国条約にはこうした見直し条項がなかった。

 また日本周辺の国際情勢の変化を考えると、ロシア革命後にソビエ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗