本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
朝日新聞の誤報がもたらしたその後の影響は計り知れない
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(5)些細なことが大きな出来事に
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
歴史とは些細なことが積み重なり、大きな出来事に発展していくものだ。歴史教科書問題や従軍慰安婦問題など、朝日新聞の事例もそうである。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第二章・第5話。
時間:3分18秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月17日
≪全文≫
 近代史を見ていくと、第一次世界大戦(大正3年〈1914〉7月28日~7年〈1918〉11月11日)のあとに、日本がその後にたどる運命と直結している条約がいくつも結ばれている。

 専門家にいわせると、第一次大戦は理由がよくわからない状況で始まっている。当時の独英、独仏、独露関係は、いずれも戦争が始まるような状況ではなかった。ところが当時オーストリア領であったボスニアのサラエボで、セルビアの一青年がオーストリアの皇太子夫妻を銃撃したという一事件が火種となり、そこから「燎原(りょうげん)の火」が激しく燃え広がるように、ヨーロッパ全土を惨禍に巻き込む大戦争へと発展してしまったのだ。

 こうした推移を見ると、つくづく歴史とは些細なことが積み重なり、大きな出来事に発展していくものだと痛感させられる。

 「些細なことが大問題に」というのは、現代の問題とも非常に関係がある。話題から少々外れるが、朝日新聞の例を挙げたい。私が朝日新聞を許せないのは、批判を受けるといつも大筋論で逃げるからである。

 たとえば朝日新聞は昭和57年(1982)に、高校歴史教科書の検定で華北への「侵略」が「進出」に書き換えられたと報じた。これを機にシナ政府が正式に抗議を行ない、韓国・台湾で反対運動が起き、日本国内でも大騒ぎになった。それが誤報であったことをわれわれが指摘し、テレビなどのメディアを通じて朝日新聞の責任を追及したのである。

 ところが朝日新聞は「謝罪した」とはいうものの、終始曖昧な態度を取り続け、最終的に、「日本政府の検定の方向が戦前を美化するほうに向いていたのが悪いのであって、『侵略』を『進出』に書き換えた教科書があったということ自体は問題ではない」と逃げている。それまで中国でも韓国でも、日本の教育が戦前を美化する方向に進んでいるとは誰もいっていなかった。つまり朝日新聞の誤報という小さな出来事が、大きな国際問題に発展したのである。

 いわゆる従軍慰安婦問題もそうである。従軍慰安婦の強制連行など旧日本軍に存在しなかったことは、もう何十年も前からわかっていた。朝日新聞は「私は韓国・済州島で女性を奴隷狩りのように強制連行した」と語る吉田清治の証言を使って、日本を貶(おとし)める報道を繰り返していたが、その証言が虚偽だったことがわかり、いよいよ言い逃れができなくなると、朝日新聞...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男