本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
当時も現代も電力の鬼・松永安左エ門がいてくれたら
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(21)資源問題の軽視は、あまりに愚
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
資源問題の軽視は現代日本にもあてはまる。エネルギー危機の恐さをいつの間にか忘れ、原子力を除くエネルギー自給率が5%ときわめて低い日本の現状を無視し、原発ゼロやら脱原発と騒ぐようになってしまった。資源問題の軽視は、あまりに愚だ。上智大学名誉教授・渡部昇一氏の「本当のことがわかる昭和史」第2章・第21話。
時間:4分33秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月20日
≪全文≫
 ちなみに、ロイヤル・ダッチ・シェルはイギリスのシェル・トランスポート・アンド・トレーディング社とオランダのロイヤル・ダッチ・ペトロリウム社が合併してできた会社だ。シェルの前身となった会社はもともと日本やアジアに機械や骨董品を輸出していたが、東洋産の装飾用の貝殻を輸入して財をなした。創業者のマーカス・サミュエルが日本の三浦海岸で拾った貝殻が美しかったため、シェルを社名にし、貝殻をロゴマークにしたという。

 彼はユダヤ人だが、ユダヤ人は元来イギリスに対して忠義を尽くした人物が多く、彼もその例に漏れることはなかった。第一次大戦でも本業の石油でイギリスに貢献したほか、自分の邸宅も病院として開放した。石油を精製したものからTNT火薬という強力な爆薬をつくり、火薬製造工場も建てている。そうした業績が認められて、彼は戦時中に準男爵になり、さらに男爵、子爵と爵位を上げていった。

 燃料に対して敏感な人たちは、どうもビジネスの嗅覚に優れているようだ。日本でも、敗戦で海外事業を失ったものの、戦後に原油の輸入から精製、販売までを一貫して手がける民族系石油会社・出光興産を築いた出光佐三のような人物が、第一次世界大戦のヨーロッパの戦場を見ていたら、どんなことをしていただろうかと、ついつい想像したくなってしまう。

 翻って21世紀のいま、日本はエネルギー問題でどれほどの手を打てているのだろうか。

 高度経済成長期の日本で石油ショックが起こった頃の政治家は、私よりも年上だったから、大東亜戦争のときにアメリカから石油を止められて、本当に青くなった経験を持っていると思う。私も当時、子供ではありながら、蘭印(オランダ領インドシナ=インドネシア)からの石油の対日全面禁輸のニュースを聞いて顔が青ざめた経験がある。だから戦後まもない頃の政治家たちは、エネルギーが安定供給できなくなって日本が滅びることを恐れて、原子力発電の推進に踏み切ったと思うのだ。

 日本が、発電しながら消費した以上の燃料を生成できる原子炉である高速増殖炉「もんじゅ」などに取り組んだ目的もはっきりしている。「もんじゅ」が完成すると、まったく材料を使わないで、25年もすれば原発がもう一基できるほどに燃料が増えていく。そのため100年、1000年単位でエネルギーの心配がなくなるのだ。

 ところが、それがいつの間にか、エ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄