本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大正デモクラシーにも影響を与えたといわれるドイツの書物
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(2)シビリアン・コントロールを知っていた木越安綱
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
大正初期の1913年、内閣をも潰してしまう軍部大臣現役武官制の規定が削除された。シビリアン・コントロールを理解していた陸軍大臣・木越安綱中将の「ガッツ」によるものだ。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第二章・第2話。
時間:5分56秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月17日
≪全文≫
 第三次桂内閣は評判こそ悪かったものの、さすがの桂だけに、このときも非常に良いことをしている。それは陸軍大臣に木越安綱(きごしやすつな)中将を任命したことだ。

 木越中将は金沢生まれで陸軍の教導団出身である。陸軍教導団とは明治4年(1871)から明治32年(1899)まで置かれた、下士官を養成する教育機関である。木越中将は一兵卒として陸軍に入隊したが、成績が優秀だったので教導団に入り、そこでも頭角を現わしたため、陸軍士官学校に進んだ。士官学校でも優秀な成績を収めている。木越中将はドイツ留学後に桂太郎とともに軍政改革に尽力したあと、日清戦争(明治27年〈1894〉~28年〈1895〉)では第三師団長・桂太郎のもとで参謀長を務め、功績を上げている。その後、もちろん日露戦争でも大活躍をしているが、桂太郎としては旧知の木越中将を気の置けない後輩として陸軍大臣に抜擢したのであろう。

 桂内閣はわずか3カ月で倒れてしまうが、その後に発足した第一次山本権兵衛内閣(大正2年〈1913〉2月20日~3年〈1914〉4月16日)でも、山本首相は木越中将を陸軍大臣に留任させている。

 先にも述べた通り、二個師団増設問題で上原陸相が辞職し、第二次西園寺内閣が倒れたことから、国会から「軍部大臣が内閣を潰せるようなことでいいのか」という声が上がった。山本首相も国会での質問に対して、「それはやはりまずいのではないか」と答えているが、軍部の同意がなければ話にならない。そこで山本首相が相談したのが木越陸相であった。

 木越中将は、当時、陸軍の医務局長だった森鷗外と公私にわたる親交があったといわれる。東京大学名誉教授の小堀桂一郞氏は、森鷗外と木越中将を結ぶものがクラウゼヴィッツの『戦争論』ではなかったかといっている。

 一般にはあまり知られていないが、クラウゼヴィッツの著書『戦争論』はいわゆる文民統制論である。『戦争論』には、「戦争は政略の継続にして他の手段を用いるものなり」という有名な言葉がある。つまり、戦争は形を変えた政治であり、戦争をするのかやめるのかを決めるのは政治であって軍隊ではないということだ。

 そんな『戦争論』を知っていた木越中将はシビリアン・コントロールの原則を理解し、陸軍部内の反対を押し切って、「陸海軍大臣は現役の大将と中将に限る」という規定を削除することに...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
スコープ・クリープはリスクが大きい…どうすればいい?
大塚有希子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子