本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ある人物の不在から日米開戦という不幸は始まっていた!?
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(20)満洲にアメリカの石油会社を招致すればよかった
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
日本が戦前に満洲で建設し、残してきた膨大なインフラが、戦後のシナの経済発展に大きく寄与し、1964年には大慶油田が開発された。戦後に満洲で、これだけの規模の油田が開発されているわけだから、戦前の日本は、当時、世界の最先端を行っていたアメリカの技術を進んで導入するべきだったのではないか。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第二章・第20話。
時間:4分20秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月20日
≪全文≫
 この益田孝のような人物が、第一次大戦のときにいなかったことが、ある意味で、その後に日米開戦を決断せざるをえなくなった日本の不幸の始まりだったのかもしれない。

 たしかに日本海軍も日露戦争中から軍艦の燃料を重油に切り替えるための研究を行ない、明治43年(1910)には戦艦薩摩、第一次世界大戦の前年である大正2年(1913)には戦艦金剛に混燃缶(石炭と石油の両方を使えるボイラー)が導入され、巡洋艦や駆逐艦には大正時代の早い時期に重油専焼缶が導入されている。

 だが、石油の調達をどうするかという肝心のところを、どれほど真剣に詰めて考えていたのだろうか。

 戦争をしようと思えば大量の石油が必要になる。だが、大井篤『海上護衛戦』(日本出版共同)によれば、日本国内における石油の年間消費量(昭和16年)は約350万トン(民間100万トン、海軍200万トン、陸軍50万トン)で、国内で賄えるのは30万トンの天然油と20万トンの人石(人造石油)だけだった。

 これに対して、昭和14年当時における日本の石油輸入先はアメリカが81.2%で、オランダが14.3%である。明治以来、日本海軍の仮想敵国はアメリカだったにもかかわらず、石油の8割以上をアメリカに頼っていては、本来、対米戦争などできるはずがない。

 陸軍はそれほど石油について深刻に考えなくてもよかったが、それでも満洲の撫順で油頁岩、いわゆるオイルシェールを開発するなどの工夫をしていた。

 しかし、石油開発に真剣に取り組むのなら、アメリカの石油会社から技師を呼んで掘削させるべきだったと私は思う。アメリカが満洲で一緒に石油開発をやろうといってきたこともあるが、日本は断っている。満洲等での権益をめぐり、日本がアメリカと対立していたことはわかるが、向こうは石油技術の先進国である。精製技術でも当時の日本のはるか先を行っており、アメリカでは航空用ガソリンはオクタン価100が普通だったが、日本はオクタン価100のガソリンをついに精製できないまま戦争に負けた。

 私は、満洲の開発は大変な成功を収めたと、いまでも思っている。実際、日本が戦前に満洲で建設し、残してきた膨大なインフラが、戦後のシナの経済発展に大きく寄与しており、昭和39年(1964)には大慶油田が開発された。

 戦後に満洲で、これだけの規模の油田が開発されてい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
武士は「お手本がない時代」だからこそ生まれた…武士誕生の真実と大唐帝国の解体
関幸彦
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
中島さち子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男