本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
第一次大戦の教訓として本気で取り組むべきだった問題
本当のことがわかる昭和史《2》軍縮ブームとエネルギー革命の時代「明治の精神」の死(19)「石炭の煙」で日露戦争に勝ったが
渡部昇一(上智大学名誉教授)

講義一覧を見る▼
石炭から石油へというエネルギー革命の問題は、軍艦が重油を燃料とするという大きな変化をもたらした。そして、そのことに対して、日本の陸軍も海軍も、もっと危機感を抱くべきだった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第二章・第19話。
時間:8分01秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年8月20日
≪全文≫
 もう一つ強調しておかねばならないのは、石炭から石油へというエネルギー革命の問題である。日本には石油資源がないのだから、陸軍も海軍も、第一次世界大戦の教訓として、もっと危機感を抱き、早急かつ本気で取り組まなければならない問題だった。

 第一次世界大戦前に、これから石炭から石油へのエネルギー革命が起こることを、最も早く理解したのはイギリスのチャーチルだった。

 チャーチルは名門マールバラ家の生まれだったが、学校の成績が悪くて士官学校の受験に失敗し、二度目の受験で合格したものの点数が足りず、騎兵科に回された。軍歴もあまりなかったが、名門出身だけに、議会に出れば口も達者で頭も切れるということで頭角を現わし、明治44年(1911)に海軍大臣となってイギリス海軍の近代化に取り組んだ。日露戦争が終わったのが明治38年(1905)だから、彼が海相になったのが、その6年後ということになる。

 日露戦争を境に、兵器開発にも大きな変革が起こっていた。たとえば長距離の砲戦に圧倒的に有利なイギリスの戦艦ドレッドノートが登場し、従来型の戦艦を一気に旧式のものにしてしまった。そのため、各国でドレッドノートに対抗しうる、いわゆる「弩級戦艦」(弩はドレッドノートの略語)の建艦競争が起こっている。

 もう一つの大きな変化は、軍艦が重油を燃料とするようになってきたことである。

 当時のイギリスの海軍大臣には、4人の提督がアドバイザーに就いたらしい。チャーチル海相が「機関の燃料を石炭から重油に替えるという話があるが、どう思うか」と4人に聞くと、3人は従来通り、石炭でいいのではないかと答えた。イギリスには国内に石炭があったから当然である。ところが、第一次大戦でイギリス海軍の軍令部長を務めることになるジョン・フィッシャー提督は相当の変わり者で、彼は「絶対に重油のほうがいい」といったのだそうだ。陸軍出身のチャーチルも熟慮の末、やはり重油だろうと判断した。何といっても、石油は石炭よりも、はるかに熱効率が高い。そのためボイラーを小さくすることもできるし、同じ量の燃料でより長い航行距離を稼ぐことができる。しかも、石炭に比べて煙も少なく、また、積み込みの手間も大いに減少することができるのである。

 チャーチルは、燃料を石炭から重油に切り替えるための作業に着手し、すぐにアングロ・イラニアン石油会...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
中国春秋戦国時代と始皇帝(4)秦と周辺国の激烈な戦い
秦と周辺国の激戦の真実に迫る…各国の兵力と秦の戦略とは?
鶴間和幸
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(4)福田恆存とは誰か?
「一匹と九十九匹と」…政治と文学の関係を問うた福田恆存
浜崎洋介