皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
日本の歴史のなかで、天皇や皇室の姿は大きく移り変わってきた。日本が第二次世界大戦に負けた後、戦後日本的な象徴天皇の姿が確立されていったが、今、その「戦後の皇室像」の変化が求められているのではないか。その問題意識...
収録日:2021/11/02
追加日:2021/12/16
安倍首相を「右寄り」に見せているのは「歴史問題」
いまアメリカが日本に問う(1)靖国参拝と歴史・外交認識
安倍首相の靖国参拝は世界に衝撃を与えた。さらに側近が連発する問題発言、また「なぜ外国が口をはさむのか」と疑問を口にする若者たち。カーティス氏は、そこに日本ナショナリズムの象徴を見る。
収録日:2014/03/06
追加日:2014/03/17
一番の問題は、歴史認識問題と政策決定プロセス
日本の外交を理解するための三つの質問(1)「安倍ファクター」はどれほど重要か
今、日本の外交が大きく変わろうとしている。それを理解するための大事な質問が三つあると語るジェラルド・カーティス氏。一つ目のテーマは「安倍ファクター」についてである。外交路線を決めるために安倍総理がどれほど重要な...
収録日:2014/04/18
追加日:2014/05/08
中国の真意は賛成でも反対でもない
日本の外交を理解するための三つの質問(3)中国は日米同盟をどう見ているか
日本の外交を理解するための三つの質問のうち、最後のテーマは、「中国と日米同盟」である。世界第二位の強国となった中国が日米同盟をどう見ているのか、それに対してどう対応しようとしているのかについて、ジェラルド・カー...
収録日:2014/04/18
追加日:2014/05/08
「歩こうアメリカ、語ろうニッポン」プロジェクトとは?
『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』レポート(1)プロジェクトの経緯と背景
『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』は、首相官邸でこの春急きょ企画、始動したプロジェクトである。果たして、このプロジェクトにはどんな意図があって、どのように進められたのか。その経緯と背景について島田晴雄氏が語る「...
収録日:2014/06/24
追加日:2014/08/14
バーボンの本場で定着しつつある日本スタイル
『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』レポート(3)ケンタッキー篇-2 本音で語り、本来の外交を知る
白熱のパネルディスカッションや心温まるパーティー、そしてここでも実感した日本企業の地元貢献の力。目立たずとも、深く静かに根を下ろしている日本の姿を語る、島田晴雄氏のケンタッキー訪問レポート後半。(全5話中第3話目)
収録日:2014/06/24
追加日:2014/08/28
安倍首相が掲げた「積極的平和主義」とは何か?
「積極的平和主義」とは何か(1)世界史と世界情勢
「積極的平和主義」とは、どんな意味なのだろう。それを知らずに、「良い・悪い」や「好き・嫌い」を表明しても始まらない。この言葉が生まれた背景を知るには、近現代の世界がたどった歴史と地政学的問題を、「一つながり」で...
収録日:2014/07/08
追加日:2014/09/22
江藤淳が調査した戦後日本の言論統制
「積極的平和主義」とは何か(3)戦後教育でゆがめられた日本人の危機意識
尖閣列島、もしくは日本周辺を世界が「今、最も危険な地域」と注目しているにもかかわらず、当の日本人の危機感はあまりにも薄い。なぜ、日本人の自国に対する安全保障意識はかくも低いのか? その根っこにある戦後体制に焦点...
収録日:2014/07/08
追加日:2014/10/07
中国の公害問題解決に日本はテクノロジーで貢献せよ
日米同盟を強化し、中国と戦略的対話を~アジア太平洋の10年先を見据えて~
日本と中国には長期的に戦略的な競争関係にあり、この関係をいかにマネジメントできるかが日本にとっての課題である。2014年11月10日に行われた日中首脳会談を受けて、ジェラルド・カーティス氏がそのために必要となる...
収録日:2014/11/10
追加日:2014/11/20
右は右でも違う! 日韓国交正常化を実現させた外相の謝罪
55年体制と2012年体制(3)戦争経験と右翼思想
中曽根康弘、後藤田正晴、岸信介、そして椎名悦三郎。55年体制には多くの“右”がいた。しかしそうした人々は、“右”であると同時にリベラルでもあった。ジェラルド・カーティス氏は、そこに今の日本の潮流との決定的な違いを見...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/12
ウクライナ問題は戦後世界の国際法違反
アゼルバイジャン訪問に学ぶ(4)グルジア・チェチェン・ウクライナからアゼルバイジャンを顧みる
2014年現在、ウクライナ問題をめぐり、欧米はロシアに対し「19世紀的暴力」と批判し、経済制裁の反撃を加えている。では21世紀初頭の「民主化ドミノ現象」は旧ソ諸国に何をもたらしたのか。そこから日本は何を学ぶべき...
収録日:2014/10/02
追加日:2015/07/16
尖閣国有化以降、中国の「力による現状変更」に対応
安全保障のチャイナリスク対応(2)尖閣をめぐる緊張
尖閣諸島を巡る「軍事的な緊張状態」は現在もあると、前海上自衛隊佐世保地方総監・吉田正紀氏は言う。わが国の安全保障の最前線である現場の視点から吉田氏が尖閣諸島問題を語る。(2014年12月1日開催日本ビジネス協会...
収録日:2014/12/01
追加日:2015/07/02
戦後、奈良本辰也は吉田松陰を「敗者」と捉えた
吉田松陰の思想(上)松陰像の変遷(2)国士・敗者・ヒューマニズム
多様な吉田松陰像は、その時代の空気を鮮やかに映し出す。明治から戦前にかけて流布したナショナリスト・松陰というイメージは、戦後になると孟子の性善説に基づいたヒューマニスト・松陰へと変化した。東京大学東洋文化研究所...
収録日:2015/02/26
追加日:2015/07/16
自民党結党60年を経済成長の観点から総括する
戦後レジームとは何か~IMF、自民党、リベラル(2)結党60年・自民党の経済政策
2015年で結党60年を迎えた自民党は、戦後日本の経済成長の推進者だったのか? いや、むしろ便乗者だったのか? 焼け跡からの復興から、所得倍増計画、ホンダやヤマト運輸の躍進、オイルショックから法人税減税の問題点...
収録日:2015/12/03
追加日:2016/01/11
国民が総活躍し、地方が創生されるのは絵空事なのか
激動する世界情勢と日本(9)現代日本の構造的難題
「一億総活躍」など、参院選に向けた選挙対策にすぎない。千葉商科大学学長・島田晴雄氏はそう喝破する。日本が直面している最大の問題は、少子高齢化を伴う人口減少だ。これが進めば成長は鈍化し、社会保障も行き詰まる。地方...
収録日:2016/01/26
追加日:2016/05/19
アメリカの正確な情報を収集するにはどうすればいいのか
トランプ政権の行方と日米関係(8)質疑応答編
アメリカ人の国家に対するアイデンティティークライシスは、どのようにして解消されるのか。日本でアメリカの正確な情報を収集しようとする場合、どのようなメディアが良いのか。政治学者でコロンビア大学名誉教授のジェラルド...
収録日:2017/04/20
追加日:2017/05/24
戦後日本の経済史の流れ…復興、高度成長、そしてデフレ
現代ドイツの知恵と経験に学ぶ(3)戦後日本の復興
2017年7月のドイツ訪問で多くの情報、知見を得た公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、ドイツと日本の戦後復興の経緯を徹底比較。戦後、ドイツと異なり間接占領で復興に向かった日本は、東西冷戦を経て世界における位...
収録日:2017/09/12
追加日:2017/10/27
トランプ政権が外交政策で錯綜している理由
激変しつつある世界―その地政学的分析(2)トランプ外交
歴史学者で京都大学名誉教授の中西輝政氏の分析によれば、外交政策でトランプ政権が錯綜するのには理由がある。政権には、孤立主義派、経済ファーストの現実主義派、そして世界で強いアメリカを求めるトランプ支持者という、3つ...
収録日:2017/05/16
追加日:2017/12/25
歴史の継続性…薩長史観、東京裁判史観、司馬史観を超えて
明治維新とは~幕末を見る新たな史観(1)明治維新の歴史観
いかに日本は幕末の動乱を乗り越え、奇跡ともいわれる明治維新を成し遂げたのか。この講義シリーズでは、島田晴雄氏が幕末から維新への大きな流れを詳細に読み解いていく。島田氏は、この明治維新の評価とそれを踏まえた未来へ...
収録日:2018/07/18
追加日:2018/10/22
「弱肉強食」の国際社会で近代日本はいかに国益に守ったか
国家の利益~国益の理論と歴史(6)近代日本の国益とパワー
近代ヨーロッパが国際秩序を模索する中、長い鎖国を解いた日本は国家を意識しないまま、「弱肉強食」の欧米列強と渡り合う世界に飛び込んでいく。国際感覚と国益の概念は、近代日本でどのように築かれたのか。今回は岩倉使節団...
収録日:2019/03/28
追加日:2019/07/07
GHQがめざしたのはエリートを育成できない教育制度
戦後復興~“奇跡”の真実(6)占領政策の展開2
多くの領域にまたがった戦後処理は、日本を戦争へと導いた旧弊打破を目論んだものであった。日本国憲法制定過程のみではなく、財閥解体、農地改革、教育改革など多くの側面において、日米の専門家たちの間で多くのやり取りが交...
収録日:2019/07/23
追加日:2019/08/27
伝染病予防法廃止から見えてくる新型コロナウイルス問題
新型コロナウイルス問題を日本の疫病対策の歴史から考える
新型コロナウイルスに関する問題を考えるとき、日本の歴史を振り返ると、重要な参照点が見えてくる。かつて岩倉使節団の一員であった長與專齋は、疫病対策を十全に行う強力な国家の建設を目指した。(2020年2月26日開催・日本ビ...
収録日:2020/02/26
追加日:2020/03/05
ペリクレスのアテネも市民権を厳格に閉鎖していた
独裁の世界史~ギリシア編(7)ペリクレスの時代
ペルシア戦争によってアテネはギリシアの覇権を握り、「デロス同盟」の盟主として政治・軍事に加え財力でも突出する。パルテノン神殿はこの頃の建造物として、今もアテネの力を伝えてやまない。そういう段階で、「ペリクレスの...
収録日:2019/12/03
追加日:2020/03/28
日本人が理解しにくい米中関係の歴史の「後ろ暗い関係」
歴史から見た中国と世界の関係(2)200年以上の歴史を持つ米中関係
アメリカと中国の関係は、ある意味アメリカと日本よりも親密である。アメリカは独立以前から、中国と貿易関係にあった。またアヘン戦争後はアメリカも中国にアヘンを売っていた。さらに辛亥革命で清朝が倒れると、中華民国を民...
収録日:2020/08/21
追加日:2020/09/28
古関裕而の戦時歌謡は戦時中、大衆の心の支えであった
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(6)戦時歌謡は大衆の応援歌
「露営の歌」「暁に祈る」「若鷲の歌」の3曲は、古関自らが選んだ戦時歌謡の代表作だ。「露営の歌」が満州旅行時のイメージから生まれたように、他の2作も、体験や経験を元にしているのだが、いずれも楽器を使わずに作曲された...
収録日:2020/08/18
追加日:2020/11/03
2000年の歴史をうまく利用したムッソリーニの独裁
独裁の世界史~ファシズム編(2)ファッショとローマの栄光
ファシズムの語源は、古代ローマの「ファスケス」という権力の象徴である斧の周りに木の棒を束ねたものだという。ムッソリーニの手法にはこの古代ローマを意識したものが多く、第一次大戦の敗戦による多額の賠償で意気沮喪して...
収録日:2020/01/30
追加日:2021/03/19
ムッソリーニを「ドゥーチェ」と呼んだイタリア人の真意
独裁の世界史~ファシズム編(3)「ローマ帝国の再現」を求めたイタリア人
ファシズムは残虐な独裁の代名詞のように用いられているが、「共和政ファシズム」のようなニュートラルな捉え方も不可能ではない。「ローマ帝国の再現」を市民に夢見させた「ドゥーチェ」ムッソリーニは、類いまれな演出家であ...
収録日:2020/01/30
追加日:2021/03/26
大粛清、そして対日工作…スターリンの思惑と戦争への道
第二次世界大戦とソ連の真実(3)大粛清と戦争準備、そして対日戦略
ソ連では1937~1938年を中心に行われた大粛清で約70万人が殺害された。その大きな理由は、迫りくる戦争に向けた国内体制の整備だったともいわれている。それと同時に、赤軍の増強や日本への空襲の予行演習など、国内外で戦争に...
収録日:2021/12/06
追加日:2022/04/08
学生闘争の街頭封鎖に知事の力で対峙せよ…国家革新の論理
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(2)都知事・石原慎太郎への時代的経緯
石原慎太郎氏の著書『慎太郎の政治調書』を読むと、国会議員に初当選した当初から都知事を視野に入れていたことが窺える。その理由は、学生運動が盛んだった当時の時代状況も大きく関係している。国会議員ではなく都知事として...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/06/15
『「NO」と言える日本』と「英米本位の平和主義を排す」と
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(7)石原慎太郎と近衛文麿の政治手法
政治家としての石原慎太郎を見る際に比較したいのが近衛文麿である。近衛は第一次大戦後の平和に向けた国際情勢の中で、日本がつねに英米の劣後に置かれることを危惧し続けた。石原慎太郎もまた、第二次大戦後に日本がつねにア...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/07/20
日中戦争、大政翼賛会…近衛に学ぶポピュリズムの自縄自縛
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(8)大衆の人気に頼る政治家の失敗
近衛文麿は大政翼賛会を作りトップダウンによる強力政治を目指したが、政治の世界に仲間が多くいたわけではなく、実は大衆の情念によって生まれた政治家でしかなかった。そのため、自分の言葉に縛られ、自滅へと追いやられるこ...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/07/27
国が潰れても関係ないノーメンクラトゥーラ根性の恐ろしさ
作用と反作用について…人間と戦争(1)大官僚主義の脳停止
執行草舟が、ウクライナ戦争にまつわる人間のあり方、そして「作用・反作用」について語る。まず取り上げるのは、2022年2月24日に始まった、ロシアによるウクライナ侵略である。この戦いの恐ろしいところは、相手がプーチンであ...
収録日:2022/05/19
追加日:2022/07/01
家の名誉を汚さない――武士道と「父祖の遺風」の共通点
江戸とローマ~「父祖の遺風」と武士道(3)家の名誉と教育のために
「父祖の遺風」はローマ貴族の伝統精神として受け継がれたものだが、日本の武士道は明治維新以降、軍隊の中で庶民にも拡大していく。家に対する誇りは両者に共通しているが、ローマでは特に著しい。彼らはそのプレッシャーをど...
収録日:2021/07/16
追加日:2022/11/26
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
日本では戦後、『国家』というタイトルで親しまれてきたプラトンの『ポリテイア』。実はこの書物は、現在もアメリカトップ10の大学生の必読書として、最も読まれている本だという。日本では『国家』という邦題のせいもあって、...
収録日:2022/07/08
追加日:2022/11/17
船乗りの比喩…哲学者の「哲人政治」は理想か全体主義か
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(11)哲人統治論
理想の国家を目指すための第3の大波が「哲人政治」である。哲学者が訓練を積んで国を支配する、あるいは政治家が真正に哲学をすることで、その役割を果たす。その必要性と最善性を説明するために用いられるのが「船乗りの比喩」...
収録日:2022/09/27
追加日:2023/02/24
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
理想的なポリスから劣悪な社会への堕落が起こる過程で、最も重要なのは「民主制」を経て最後の「僭主制」に移行する段階である。なぜ最も重要なのかというと、そもそも『ポリテイア』の問題提起が「僭主制が一番いい」という議...
収録日:2022/09/27
追加日:2023/03/17
東條英機と喧嘩…サイパン島陥落迫る日本と岸信介の覚悟
岸信介と日本の戦前・戦後(4)経済新体制と岸・東條の対立
満洲国での大規模な産業開発を指揮する経験を経て、大物とも渡り合う政治力を身につけた岸信介。しかしその後、商工次官や商工大臣を歴任するも、岸はその中でさまざまな挫折を経験することになる。満洲国から帰国した後の岸の...
収録日:2022/09/02
追加日:2023/03/11
なぜ岸信介は戦後世界で復活できたのか?貫戦史でみる意味
岸信介と日本の戦前・戦後(6)貫戦史からみる岸信介
1953年に自由党から国会議員となった岸信介は、その4年後には内閣総理大臣に就任する。今では考えられないその足取りの速さの背景には、戦前から知見を蓄えていた計画経済の担い手としての期待があった。その後、強力な党体制を...
収録日:2022/09/02
追加日:2023/03/25
軍国主義の狂信者が、民主主義の狂信者になっただけ
逆遠近法の美術論(10)イコンの文化を継承する民族
グローバリズムに代わる、新しい文明である霊性文明に一番近いところにいたのが日本である。だが日本は明治以来、安易な近代化によって、霊性文明から遠ざかってしまった。実は、戦前のインパールや南方作戦、特攻隊と、戦後の...
収録日:2022/08/30
追加日:2023/05/12
河合栄次郎、石橋湛山、ルーズベルト…日米自由主義者の主張
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(6)日本とアメリカのニューリベラリズム
「ニューリベラリズム」は日本やアメリカにも影響を与えていった。日本では河合栄次郎や石橋湛山が紹介に努めることになる。アメリカでは、大恐慌で市場経済への信頼が失墜したことが決定的となり、「ニューリベラリズム=リベ...
収録日:2022/07/01
追加日:2023/05/23
日本は「苦悩」を投げ捨てて「戦争」に走ってしまった
人生のロゴス(2)インテリの苦悩
芥川龍之介の〈人生は一行のボオドレエルにも若(し)かない〉は、彼の苦悩の頂点で書かれた言葉である。この苦悩は日本的な伝統とヨーロッパ文明との対決であり、大正時代のインテリの苦悩でもある。東大教授だった橋田邦彦も...
収録日:2023/03/29
追加日:2023/06/02
民主主義社会で一番の悪魔は「幼稚な人間」である
人生のロゴス(3)堕ちた者も自由に堕ちたのだ
次の座右銘は道元の言葉で、執行氏がもっとも尊敬しているという橋田邦彦の愛読書だった『正法眼蔵』からである。橋田邦彦は戦争責任を押し付けられて散った。また、ジョン・ミルトンは〈正しく立てる者も自由に立ち、堕ちた者...
収録日:2023/03/29
追加日:2023/06/09
苦悩と葛藤の意義…文明を生み出すには地獄の池の底が要る
人生のロゴス(4)苦悩と葛藤
ダンテの『神曲』に〈地獄には、地獄の名誉がある〉とあるように、西洋はずっと葛藤を続けてきた。この言葉には、「本当の名誉心とは何か」ということが書いている。当時の人間は人間が持つ理想や憧れなどを神と対立する悪いも...
収録日:2023/03/29
追加日:2023/06/16
「いい思い出」を持っている人とは勇気がある人である
人生のロゴス(5)記憶と思い出が人間を創る
日本の知性人、教養人の代表と当時言われた小林秀雄は〈上手に思ひ出す事は非常に難しい〉と述べた。大事なのは、思い出を情感の中に美しく入れられるか否かである。それができる人はたとえ貧しくとも、いい思い出ができる。い...
収録日:2023/03/29
追加日:2023/06/23
苦悩に耐えきれないと「一撃で殴る」ほうが簡単に見える
人生のロゴス(11)無限の憧れと永遠の苦悩
かつて本が売れたのは、反対意見を持つ人たちが、議論して論破するために読んでいたことも理由にある。命懸けで築き上げられた思想は、たとえ嫌いな思想であっても、どこかに共振する部分があるのである。だが昨今では、そのよ...
収録日:2023/03/29
追加日:2023/08/04
「近代の超克」――見直すべき哲学に期待した時代の挑戦
哲学の役割と近代日本の挑戦(5)「近代の超克」の時代
1942年、当時の名だたる哲学者や論者、芸術家などが集まった「近代の超克」というシンポジウムがあった。戦後、戦争とファシズムを支持したものとして批判され、忘れ去られるようになったが、日本の思想史にとって、彼らの主張...
収録日:2023/07/28
追加日:2023/10/28
権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう
民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために
ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
今の日本の国民性では核も軍隊も持たせられない
読書と人生(9)「護憲論者」に転じた理由
かつて憲法第9条に反対論を唱えていた執行草舟は、近年、憲法9条護持論者になったという。その理由は、日本があまりにも「自立」からかけ離れてしまったからである。江戸時代の武士たちは、刀を抜いたら切腹であった。抜けば切...
収録日:2019/05/14
追加日:2019/10/11
なぜカトリックに飛び込んだら、日本の核心が見えたのか
渡部昇一に学ぶ教養と明朗(6)先祖信仰とカトリック
カトリックは、キリスト教への信仰のなかから「魂の不滅」を掴む。一方、古来日本人は、「先祖が見ている」「子孫からも恥ずかしくない先祖になれ」というような考え方を通して「日本的な魂の不滅」を実感していた。渡部昇一先...
収録日:2020/09/09
追加日:2020/11/13