山上憶良が「沈痾自哀文」で問いかけた因果応報の問題
山上憶良「沈痾自哀文」と東洋的死生観(1)因果応報と日本仏教の課題
『万葉集』にさまざまな歌を残した山上憶良は、8世紀の「知の巨人」と目されている。例えば彼は、「善行を積んできた自分が報われず、老いの醜態をさらす惨めな状況になったのはなぜか」という問いを「沈痾自哀文」に残した。こ...
収録日:2024/04/02
追加日:2024/07/12
神様か仏様か?…和魂漢才・和魂洋才の融通無碍さと得意技
山上憶良「好去好来の歌」を読む(3)神と仏の棲み分けと「和魂漢才」
山上憶良は、遣唐使の旅立ちに送る歌の中で神と仏の棲み分けを示していた。神仏が時に一つになり、時に分かれ、棲み分けてきた融通無碍さは、日本が島国だから生まれた方法である。菅原道真は、受容したものを工夫して使うこと...
収録日:2024/04/02
追加日:2024/06/02
道元『辨道話』の教え「修行こそわが仏門」とは
石田梅岩の心学に学ぶ(5)根本としての仏教と道元の教え
石田梅岩の思想の根本をさかのぼると、最澄の説く「本来本法性 天然自性身」、またその言葉から修行への疑問を呈した道元に行き着く。最澄は「人間は本来仏性を持つ、生まれながらに悟った身だ」と言う。仏教とはそうした存在...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/05/06
議論と秩序…仏教、儒教、法家の影響と十七条憲法の独自性
聖徳太子「十七条憲法」を読む(6)条文を読む…仏教と礼
十七条憲法を読むときに意識したいのは、仏教、儒教、法家など、当時東アジアの先進性を支えていたその教えと、それらによる影響である。しかも、それらにただ従順に従うのではなく、国家の方向性を定めるための舵として利用し...
収録日:2023/08/24
追加日:2024/01/11
議論で和を実現せよ、怒りと執着を捨て凡夫の自覚を持て
聖徳太子「十七条憲法」を読む(5)条文を読む…和と議論
「議論によって和を実現する」――これは、十七条憲法の条文の中で最も多くかつ非常に重要なこととして第一条、第十条、第十五条、第十七条に記されている内容である。議論を尽くすことにより自ずと立ち上がる道理。また、その前...
収録日:2023/08/24
追加日:2024/01/04
仏教を重んじる深い理由…なぜ親鸞は聖徳太子を尊敬したか
聖徳太子「十七条憲法」を読む(4)聖徳太子の思想と日本の独立性
十七条憲法について、「中国で隋の直前の時代にあたる北朝の文書(六条詔書)を模倣したものではないか」「中国の思想のパッチワークではないか」といった指摘もある。もちろん、似ている部分や取り入れている部分もある。しか...
収録日:2023/08/24
追加日:2023/12/28
聖徳太子の実在はなぜ証明できる?その世界史的意義は?
聖徳太子「十七条憲法」を読む(3)聖徳太子の謎とその存在意義
聖徳太子とはいったいどのような人物なのか。「聖徳太子はいなかった」という虚構説も飛び交うが、それは本当なのか。十七条憲法の作者と目される聖徳太子の謎に迫っていく第3話。日本を氏族社会から脱皮させ、統一国家として成...
収録日:2023/08/24
追加日:2023/12/21
律令国家への道…皆「凡夫」だから人の意見を聞き調和せよ
聖徳太子「十七条憲法」を読む(2)十七条憲法の特徴と聖徳太子の先進性
十七条憲法の特徴は、日本の新たな国づくり、その秩序・維持のため、君(天皇)と民(人民)とを結ぶ「官人(役人)」に対する心構えを説いたところである。日本が氏族社会から律令社会に移行し、当時の東アジアの国々と伍する...
収録日:2023/08/24
追加日:2023/12/14
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
「和を以て貴しと為(す)」に始まる聖徳太子の「十七条憲法」。これほど有名で、内容の一部も広く知られている日本古代の文書は他にないのではないだろうか。十七条憲法は日本の道徳、倫理の歴史を考える上で、一つの重要な出...
収録日:2023/08/24
追加日:2023/12/07
サイバネティック・パラダイムと仏教…「空-縁起」の共鳴
ChatGPT~AIと人間の未来(7)大乗仏教とコンピュータ
多元的な価値観に基づくポストモダニズムは、実は日本人が古くから親しんできた大乗仏教の「空-縁起」の考え方にも通じる。デジタルやコンピュータを考える場合、「コンピューティング・パラダイム」と「サイバネティック・パ...
収録日:2023/03/15
追加日:2023/06/29
宮沢賢治の浄土教的世界観の根底にあった「隠し念仏」とは
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(6)キリスト教と隠し念仏
『銀河鉄道の夜』にはキリスト教的モチーフが多く登場する。この物語へのキリスト教の影響、そして宮沢賢治とキリスト教の関係はどうなのか。ファンならずとも気になるところである。
本講義収録後の質疑応答コーナーに、宮沢...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/04/10
日蓮が『開目抄』に記した「我日本の柱とならむ」の誓い
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(3)『開目抄』と法華経への強い思い
『開目抄』もまた佐渡で執筆された日蓮の重要な著作である。そこでは、どのような法難に遭っても法華経を捨てないという強い決意が述べられている。さらに、「我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/12/18
日蓮の「一念三千」――「空-縁起」にも通じる思想の意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(2)『観心本尊抄』と一念三千
佐渡流罪中に執筆された日蓮の『観心本尊抄』。本著は、中国天台宗・湛然の言葉「一念三千」に基づき、法華経を受持することで仏の功徳一切を譲り受けることができるとしている。そこには、道元の「自他一如」「空ー縁起」にも...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/12/11
天台宗を純化し法華経を重んじた日蓮…日蓮宗と他宗の違い
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(1)「天台沙門」と題目の功徳
鎌倉仏教の中でも独特の位置を占めるのが日蓮である。日本に対する思い入れを強く持ち、「行動」を重んじた僧で、天台宗の「堕落」に反発し、原点回帰として「純粋な天台宗」の立て直しを目指す。(全3話中第1話)
※インタビュ...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/12/04
「布施」の本当の意味とは?禅が説く自他一如の世界
【入門】日本仏教の名僧・名著~道元編(4)「菩提薩埵 四摂法」と自他一如
『正法眼蔵』の「菩提薩埵 四摂法」を読み解く最終話。理解の手がかりは「自他一如」である。自他のあいだに隔たりがなければ、モノに所有という概念はなく、必要なときに必要な人がそれを使えばいいことになる。それゆえ仏教上...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/07/16
『正法眼蔵』の入り口『弁道話』が述べる「修証一等」とは
【入門】日本仏教の名僧・名著~道元編(3)『弁道話』と修証一等
道元の書に『弁道話』がある。難解といわれる主著『正法眼蔵』の内容を分かりやすくまとめている、いわば導入的位置づけの著作だが、そこで道元の非常に重要な考え方である「修証一等」について語られている。「修証一等」とは...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/07/09
『正法眼蔵』が説く本当の自己…身心脱落して自我を超える
【入門】日本仏教の名僧・名著~道元編(2)現成公案と「自己」の問題
現成公案は『正法眼蔵』の冒頭をなしている。ここで最初に取り上げられるのは「自己」の問題である。「自己」とは確固たる存在ではなく、その他全ての関係性、そのつながりの中で変わり続ける存在と捉えなおすことが、道元思想...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/07/02
禅の原点とは――中国から禅をもたらした道元の生涯に迫る
【入門】日本仏教の名僧・名著~道元編(1)道元の生涯と禅の歴史
禅を中国からもたらした僧に道元と栄西がいる。密教も熱心に修行した栄西とは異なり、道元は禅に徹したところに大きな特徴がある。禅宗は、末法思想が中心をなす浄土教とは対照的に、この世で修行して悟りを開くことを目指して...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/06/25
南無阿弥陀仏と唱えて極楽浄土へ…法然の革命の意味とは
死と宗教~教養としての「死の講義」(6)日本人の「死」と法然
日本には、仏教より古くから伝わる死後の観念があった。死後は「黄泉の国」、あるいは山の上や海の彼方に行くと考えられていたが、そこに仏教が入ってきた。仏教は輪廻するから、死者の国は存在しない。しかし当時、仏教は難し...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/16
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
日本人の死生観を築いていった仏教の宗派は浄土宗・浄土真宗、禅宗、法華宗・日蓮宗であるという。念仏による極楽往生、坐禅がそのまま覚りであること、在家にいながらの菩薩修行は、いずれも死の恐怖に向かう日本人の姿勢をサ...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/09
仏教の死の考え方…釈尊は死ぬが因果法則を覚ればいい
死と宗教~教養としての「死の講義」(4)仏教の「死」・インド編〈下〉
すべてを因果関係であり、輪廻だとする仏教は、覚者である釈尊の死をどう伝えたのだろうか。直接の弟子たちは「宇宙と一体化して雲散霧消した」と考えたが、そもそも釈尊が覚りに至ったこと自体、ゴータマとして一代の修行のみ...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/02
仏教の根本は真理を覚ること…では真理とは何か?
死と宗教~教養としての「死の講義」(3)仏教の「死」・インド編〈上〉
仏教の始まりはインドにある。その考え方の根本は「因果法則」であり、出来事が生命を超えたスケールで連鎖することにある。そして、この法則に従って、自分はいま命を与えられていると理解し、その法則に合致した生き方をする...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/04/25
親鸞の『自然法爾章』とは?…救いの力と絶対他力の真髄
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(4)『自然法爾章』と絶対他力
『自然法爾章』は親鸞最晩年の書といわれ、上人が至った究極的な境地と尊ばれている。「自然法爾」とは、世界全体に満ち溢れている「救いの力」というものがあり、それによって“おのずから”救われるということで、「他力」の真...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/03/18
「空-縁起」とは…そして『歎異抄』が伝える親鸞の魅力
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(3)「空-縁起」と『歎異抄』
「空」と「縁起」は大乗仏教の中心的な概念である。あらゆる存在が単独に成り立つのではなく、関係性の中で生じているとする、現代思想とも通じる考え方だ。そのうえで「阿弥陀仏は光である」「世界全体が光である」とは何を意...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/03/11
阿弥陀仏は無限の光だ…親鸞の『唯信鈔文意』の教えとは?
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(2)『唯信鈔文意』と方便法身
親鸞の著書として重要なのが『唯信鈔文意』である。『唯信鈔』は同門の先輩・聖覚による著だが、法然の教えをよく伝える書として親鸞は大切にした。その解釈書として著した本書の中でも阿弥陀仏についての捉え方を、「法蔵神話...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/03/04
親鸞が「非僧非俗」と名乗った真意と妻・恵信尼の影響
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(1)親鸞と法然の違い
親鸞といえば、法然の専修念仏思想を継いで布教を続けた聖人ともいわれる人物だが、法然と親鸞の教えではどこがどう違うのだろうか。また、「非僧非俗」と名乗り、出家の身でありながら妻帯した親鸞の真意はどこにあったのだろ...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/02/25
無耳法師となった明恵の過激、秘めた切なる想いとは
【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編(2)無耳法師の「賛」と和歌
明恵は両親を早く亡くして仏門に入ったことから、釈尊を父と崇め、「仏眼仏母」の仏画を母と慕い続けた。また、自らの美貌が修行の妨げになることを気遣い、右耳を削ぎ落として「無耳法師」と名乗ったという過激な経歴の持ち主...
収録日:2020/09/30
追加日:2021/10/29
法然の専修念仏を批判…明恵の「あるべきようは」とは?
【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編(1)批判精神と『夢記』
明恵は華厳宗の高僧で、法然を厳しく批判した『摧邪輪』で名高い。一方で、生涯書き続けた『夢記』は、世界にも珍しい著作として注目される。『夢記』からの例とともに『明恵上人遺訓』を参照しつつ、現代人にもヒントになる夢...
収録日:2020/09/30
追加日:2021/10/22
一枚起請文…法然が最晩年に弟子に説いた教えの内容とは
【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(3)『一枚起請文』
讃岐配流から赦免され、京へ戻った法然が死の二日前、弟子源智の願いに応じて記した遺言書が『一枚起請文』とされる。自身の死後、分裂していくであろう弟子たちに向けて、学問や議論よりも「専修念仏」を実践することの重要性...
収録日:2020/09/30
追加日:2021/07/15
選択本願念仏集は生死輪廻の世界観に立ち向かうための教え
【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(2)『選択本願念仏集』
「大原問答(談義)」において「浄土門・易行の専修念仏こそが凡夫を救う唯一の道である」と説き、世を騒然とさせた法然が書物として撰述した代表的な著作が『選択本願念仏集』である。「称名」がなぜ往生に結びつくのか。大乗...
収録日:2020/09/30
追加日:2021/07/08
「観想念仏」から「口称念仏」へ…法然の専修念仏の革命性
【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(1)鎌倉仏教と専修念仏
平安末期から鎌倉時代にかけて、貴族が独占していた仏教の教えが民衆向けに布教されるようになっていった。「鎌倉仏教」と呼ばれるこの思潮は、ヨーロッパの宗教改革にも匹敵する重要なマイルストーンと見なされている。その一...
収録日:2020/09/30
追加日:2021/07/03
『古事記』をめぐる謎…仏教の記述ゼロ?偽書説の真実は?
世界神話の中の古事記・日本書紀(8)『古事記』の信憑性
『古事記』を読むと、冒頭の壮大なストーリー性に比べ、崇峻天皇や推古天皇などの記述が少ないなど当時の現代史に関しては非常に手薄になっている。ある意味で、非常に不思議なアンバランスさである。また、『古事記』は偽書説...
収録日:2020/10/05
追加日:2021/05/26
『往生要集』の「地獄」描写で見せる源信の編集能力の高さ
【入門】日本仏教の名僧・名著~源信編(2)『往生要集』と観想念仏
源信の『往生要集』は凄まじい地獄の描写で有名だが、その目的は「極楽往生」にあった。現世での解脱が無理になった末世において、極楽で修行を重ねようとするのだが、極楽に往生するには、念仏の行が必要だとするものだ。念仏...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/04/01
末法直前に法華一乗思想と浄土信仰を両立した源信の教え
【入門】日本仏教の名僧・名著~源信編(1)末法思想と浄土信仰
恵心僧都としても著名な源信は、平安中期の天台宗の僧でありながら、浄土信仰の展開に大きな影響を与えた。主著『往生要集』は当時、日本だけでなく中国の宋でも高く評価されたという。ここでは、源信の思想展開の背景として欠...
収録日:2021/08/20
追加日:2021/03/25
空海の『十住心論』が説いた「真言密教こそが最高の教え」
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(3)『十住心論』と真言密教
『十住心論』は空海の主著といっていい名著だが、そこでは世界の思想を集大成して10の段階に分け、その頂点に真言密教が位置する。まったくの無知から仏教以外の宗教を経て、小乗・大乗へ。密教と対立する9つは顕教だが、その中...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/03/18
『即身成仏義』で空海が説いた悟りの方法「三密」修行
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(2)『即身成仏義』と自他一如
空海の残した名著の一冊目は『即身成仏義』である。本来、仏教では悟りを得るために「未来永劫」というほどの長時間を要すると説いたが、空海は「現在の自分の身体」で速やかに悟る方法を書き残した。それが、身口意による「三...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/03/11
空海と最澄の関係に大きな影響を与えた「密教」の位置づけ
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(1)空海と最澄
弘法大師としても知られる空海は、どんな人物だったのだろう。伝教大師とも呼ばれる最澄と対比すると、分かりやすい。二人は同時期に遣唐使として中国へ渡るが、当時の最澄は天皇の帰依篤い貴賓待遇、空海は無名の自費留学生に...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/03/04
すべては救われる――最澄の「法華一乗」思想が与えた影響
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(4)一乗思想から広がる成仏
法華経には「一乗」と「三乗」の区別がある。大乗の教えだけが人を救い、小乗では救われないというのが「三乗」、すべては救われるというのが「一乗」である。最澄の考え方は「法華一乗」といい、三乗、つまりそれぞれ違ってい...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/01/15
最澄が『山家学生式』で示した「一隅を照らす」の深い意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(3)『山家学生式』で示した修行の仕方
最澄が弟子たちに向けて書いた『山家学生式』では、厳しい修行の仕方が規定される。その奥には、仏教を極める僧こそが国宝であるとする考え方とともに、修行を重ねて他にも利益(りやく)を与えることが鎮護国家につながるとい...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/01/08
最澄が比叡山での修行の際に『願文』に込めた願いとは
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(2)『願文』で立てた志
『願文』は、比叡山12年の修行に入る際に最澄が立てた「志」である。「一切皆苦」の仏教的世界観に立ち、苦しみのもとを考えかたの誤りに求め、一切衆生の悟りと救いを求めていく名文だ。若き最澄がこの文章に込めた願いは、厳...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/12/31
天台宗の開祖・最澄が残した最大の成果は「大乗戒」の確立
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(1)比叡山延暦寺の開祖として
比叡山延暦寺を開いた天台宗の開祖として著名な最澄は、エリート僧として出発する。その地位を捨て、比叡山中で12年間修行した彼は、弟子たちにも孤絶した状態での勉強を求める。そのような最澄の残した最大の成果は「二百五十...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/12/24
聖徳太子の十七条憲法「和を以て貴つとしと為」の真の意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編(2)十七条憲法と「和」
聖徳太子といえば十七条憲法。第一条の「和を以て貴つとしと為」は、その後の日本人の精神性を方向付けたといっても過言ではない。その「和」という概念はどこからやってきたのか。われわれが現在考える「忖度」や「空気を読む...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/12/03
聖徳太子が仏教を積極的に国づくりに生かした理由
【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編(1)仏教受容の意味
日本への仏教伝来は538年といわれるが、その興隆に尽くしたのは聖徳太子である。現在、その実在が議論され、厩戸王か聖徳太子か教科書表記が問題になったのも、皇位にもつかなかった彼があまりにも偉大な業績を残しているからに...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/11/26
日本仏教の「3つの特徴」…世界の仏教との大きな違いとは
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(3)日本仏教と世界仏教
仏教は言うまでもなく世界宗教の一つだが、日本仏教は世界のそれとは様相が違うといわれる。仏教学者・中村元氏の研究で明らかになった主な特徴は三つ数えられる。「出世間を重視しない」「戒律を重視しない」「仏教論理学に頼...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/10/08
法然・親鸞・道元・日蓮の研究が下火になっている理由
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(2)新しい思想の息吹を追う
平安末期から鎌倉時代、公家から武家の世の中が始まると、それ以前とは異なる思想が必要になった。浄土思想が普及し、禅宗が伝来して始まった新しい仏教の流れは、現代にも大きな影響を与えている。総論の第2回では、さまざまな...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/10/01
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
書店には数多くの仏教の入門書が並んでいるが、名僧や開祖たちが残した著作は敷居が高く、なかなか手に取れない。名僧の息吹をじかに感じつつ、その教えに触れるのが本シリーズだ。総論の第1回では日本に仏教思想が伝来した当初...
収録日:2020/08/20
追加日:2020/09/24
なぜ仏教は5番目の文明とみなすことができないのか
宗教で読み解く「世界の文明」(7)質疑応答編その1
仏教はなぜ4大文明に続く5番目の文明にならなかったのか。手がかりとなるのは、ヒンドゥー教や儒教など、他の文明を形作った宗教との対抗関係と、仏教の教義に見られる特性である。講演後の質疑応答編その1。(2019年11月12日開...
収録日:2019/11/12
追加日:2020/06/07
ヒンドゥー教のカースト制度への対抗の1つが仏教の真理
宗教で読み解く「世界の文明」(5)ヒンドゥー教と仏教
ヒンドゥー教におけるカースト制は、頂点にいるバラモンのみが宇宙の真理に到達できるという考え方からきている。インド文明はこうした発想を基礎として成立しているが、ヒンドゥー教の考え方・やり方に反対して起こったムーブ...
収録日:2019/11/12
追加日:2020/05/24
「石門心学」に「儒・仏・道・禅・神道」を使い切るヒントがある
人生に活かす東洋思想(8)東洋古典と石門心学
8回の連続講義を経て、東洋古典は難解で遠い存在から、現実に使えて役立ちそうなものに変わってきただろうか。そのような先達に石田梅岩の「石門心学」がある。哲学・思想を使い切って、「生きているだけで100点」の人生を送り...
収録日:2019/06/14
追加日:2019/09/06
「儒教・仏教・道教・禅・神道」の違いと基本的な考え方
人生に活かす東洋思想(3)「儒・仏・道・禅・神道」
日本では、「儒教・仏教・道教・禅・仏教、神道」という思想が育まれ、現在でも根強く息づいている。田口佳史氏は日本にはこれらの教えがあるがゆえに、何か困ったことが起きてもなんらかの教えが導いてくれるのだと言う。それ...
収録日:2019/06/14
追加日:2019/08/31
日本宗教の特徴…水と油の「神と仏」をつなぐ本地垂迹説
宗教で読み解く世界(5)日本の不思議と世界のゆくえ
日本にもともとあった神道と後から入ってきた仏教は、いわば水と油のような関係にある。そこで日本は時代により、神道と仏教を同じとみなす本地垂迹説と、神仏を分離する廃仏毀釈という、全く正反対の立場を取ることになる。そ...
収録日:2019/01/21
追加日:2019/06/16
メルケル独首相の影響力低下とマクロン仏大統領の台頭
2019年激変する世界と日本の針路(7)独仏の政治的変化
ドイツではこれまで圧倒的な支持を集めていたメルケル首相の影響力が低下し、反メルケルの動きも出てきている。フランスでは既存勢力を排してマクロン大統領が台頭。こうした両国の政治の変化をどう捉えればいいのだろうか。(2...
収録日:2019/01/28
追加日:2019/05/15
仏像における「具象」と「抽象」の共存
日本美術論~境界の不在、枠の存在(2)仏像彫刻
東京大学大学院人文社会系研究科教授の佐藤康宏氏が、仏像に見られる、具象と抽象の共存について解説する。神護寺薬師如来立像には、現実らしい造形と抽象的な表現が混在している。特に、薬師如来立像は唐の表現様式の影響圏内...
収録日:2017/08/02
追加日:2018/02/09
東大寺大仏建立の理由ー聖武天皇のいう「菩薩の精神」とは
東大寺建立に込められた思い(3)あまねく発展を願う
大仏造立の際に聖武天皇が出した詔では、何が語られているのか。東大寺長老・北河原公敬氏が解説する。聖武天皇は、自らを菩薩になぞらえ、この世の全てを慈しもうとした。菩薩とは、自分以外のものにも手を差し伸べ、一緒に救...
収録日:2016/03/08
追加日:2016/12/10
東大寺の昔の宗派は八宗兼学ー最高の仏教大学としての歴史
東大寺建立に込められた思い(2)この世を蓮華蔵世界に
東大寺長老・北河原公敬氏によれば、東大寺はもともと、様々な宗派について学ぶ場所だった。そんな東大寺の建立を、聖武天皇が思い至った理由は、ある講義だった。その講義に感銘を受けた聖武天皇は、そこで展開された蓮華蔵世...
収録日:2016/03/08
追加日:2016/12/03
東大寺には大仏開眼以来1200年以上続く修二会の行法がある
東大寺建立に込められた思い(1)千二百年有余の伝統
東大寺長老である北河原公敬氏が、大仏造立の歴史的背景、そして発願した聖武天皇の「思い」を語る。東大寺では創建以来、修二会の行法が途切れることなく続けられてきた。今年(2016年)で1265回目を数える。修二会で祈るのは...
収録日:2016/03/08
追加日:2016/11/26
仏国土は水平的世界だが「浄土に登る」―日本的仏教観
法隆寺は聖徳太子と共にあり(4)仏国土はどこにあるか
私たち日本人は、外からの諸物をそのまま受け入れるのではなく、自分たちの基準に従って取捨選択し、自分たちに都合よく組み上げてしまうことを得意とする。そしてそれは、典型的な経典解釈すら、日本風にアレンジしてしまうこ...
収録日:2016/03/09
追加日:2016/10/22
聖徳太子は「皇太子」だったことを忘れてはならない
法隆寺は聖徳太子と共にあり(2)神と仏の二人三脚体制
聖徳太子は仏教を日本に取り入れ、そして広めた。そう教えられてきた聖徳太子像に対し、法隆寺管長・大野玄妙氏は注意を促す。聖徳太子について考える上でまず重要なのは、彼が皇太子であることだ。すなわち彼本来の仕事は、日...
収録日:2016/03/09
追加日:2016/10/08
本来本法性、天然自性身…仏性と悟りを道元はどう考えたか
東洋思想の主張~見えないものを見る(3)全ては自分の内にある
仏教では、本来人間は皆、仏であり悟りの要素を持っていると説く。その仏性、悟りを得るためにどうするべきかを、道元、千利休など多くの先人が思索し続けた。仕事にどのような意味を見出すのか、悟りを得るとはどういうことな...
収録日:2014/11/12
追加日:2015/07/20
治水に長けた禹の如く人間を救済するのは神でも仏でもない
中国古典思想に学ぶ~そのエッセンスとは(2)「人間の救済は人間のみ可能」という基本理念
より良く生きたいという欲望を是認したからこそ、理性を重んじた中国古典思想。その基本理念の中心には常に「人間」があった。「人間を救うのは神でも仏でもなく人間」とする中国古典思想の背景にあるものは? 老荘思想研究者...
収録日:2014/10/29
追加日:2015/06/01
仏教を超え内面に向かう「啓蒙」へ! 朱熹が採った道とは?
東アジアにおける近代の啓蒙~儒教と近代(3)仏教から新儒教へ~朱熹と朱子学
宋代に朱熹が築いた「朱子学」とは、何だったのか。後に東アジアの近代的啓蒙に色濃く影響することになる宋代・明代の「新儒教」の発生以前にさかのぼり、儒教と啓蒙の絡まりをひもとく。(全4話中第3話目)
収録日:2014/10/07
追加日:2015/01/30
現実を律する者が一番偉い――徳川家康が重んじた儒教思想
徳川家康の果断と深謀~その指導者論・組織論(4)家康と儒教
それまで日本は仏教を重んじてきたが、徳川家康は儒教に重きを置いた。それは儒教が徹底したリアリズムであり、現実世界を治めるものがもっとも偉いのだとしたからである。そしてそれに加えて家康が取り入れたのが「東照大権現...
収録日:2022/09/14
追加日:2022/12/20
十住心とは何か――迷いの世界から大日如来の心の世界へ
空海と詩(3)十住心と大日如来の心の世界
十住心とは、十の意識のグラデーションないし心の十段階のことで、『秘蔵宝鑰』はそれを教相判釈的に解説している。中でも第十は大日如来の心の世界、すなわち秘密荘厳心が最上にして最大の包的な心の頂点と考える。今回は十住...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/16
「道徳を語らない=道徳がない」ではない…本居宣長の反論
もののあはれと日本の道徳・倫理(2)日本に道徳はあるのか
「もののあはれ」こそが日本の道徳の基盤にあると論じた本居宣長だが、その議論は、道徳が語られなかった日本には道徳が存在しないという、宣長より少し前の世代の儒者・太宰春台の主張に対する反論として展開された。そのよう...
収録日:2023/08/04
追加日:2024/01/25
西洋の二元論と東洋の多様性ある一元論…岡倉天心の喝破
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(6)西洋の二元論か東洋の一元論か
戦時中に伊福部昭の音楽が多く取り上げられた背景には、日本全体をとりまく、ある傾向の影響もあった。それは、岡倉天心のような「アジアは一つ」とも似た一元論的な思想である。西洋の没落とともに浮上したこの思想とはいかな...
収録日:2023/09/28
追加日:2023/12/16
地獄の話の「三途の川」「奪衣婆」は日本のオリジナル
死と宗教~教養としての「死の講義」(7)地獄と日本の葬儀文化
われわれが描く地獄のイメージは、道教の考え方がもとになっている。ただし「三途の川」や「奪衣婆」などは、日本オリジナルなストーリーで、迫力満点だ。毎年お盆が近づくと、家ごとに、死者を迎える準備をすることになってい...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/23
菩薩の心が現代社会から薄れた一因は戦後の民主主義にある
東大寺建立に込められた思い(4)建立を支えた知識
現代の日常生活で、他人に手を差し伸べることが減ったのは、困っている人と自分とが無関係だからだ。しかし東大寺の建立を呼び掛けた聖武天皇が目指すのは、他者を思いやる菩薩の精神を行き渡らせることだった。そのために聖武...
収録日:2016/03/08
追加日:2016/12/17
独ソ不可侵条約はヒトラーに戦争をけしかけるためだった
第二次世界大戦とソ連の真実(4)独ソ不可侵条約とスターリンの誤算
宥和政策を取るイギリスなどの帝国主義諸国に対する不信感を強めていたソ連は、ドイツを利用して両陣営の戦いを煽っていく。その決定的なきっかけとなったのは、1939年にナチス=ドイツとの間で結ばれた独ソ不可侵条約だった。...
収録日:2021/12/06
追加日:2022/04/15
本居宣長が喝破!『源氏物語』と和歌は本質的に同じ
『源氏物語』ともののあはれ(3)『源氏物語』の本質と本居宣長の画期
光源氏の禁忌的な恋を描いた『源氏物語』。その物語を、日本の知識人はどのように理解し、批評してきたのだろうか。儒教や仏教の宗教的な教訓に導くことにその意義を見いだした言説が優勢な中で、「もののあはれ」、その深い感...
収録日:2023/08/04
追加日:2023/11/16
全てが悟りに至る道…日本は茶や花や野球にも「道」がある
石田梅岩の心学に学ぶ(6)禅から茶道へ
道元の『辨道話』には「修証一等」の言葉がある。修行も悟りも同じことであり、修行は特別なことではないことを説く。坐禅だけでなく茶をふるまうのも花を活けるのも、生きることそのものが修行になる。ただし、ただ生きるのと...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/05/13
カムパネルラは消えたのか…ブルカニロ博士との対話の意味
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(3)ブルカニロ博士と法華経の世界観
「永久の未完成これ完成である」という言葉通り、宮沢賢治は自作の推敲を繰り返した。『銀河鉄道の夜』では4次にわたる大幅な加筆訂正削除がなされている。決定稿となった第4次稿で消え去った謎の人物に、「ブルカニロ博士」が...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/03/20
「正直」の徳を最初に唱えた鈴木正三『万民徳用』とは
石田梅岩の心学に学ぶ(7)鈴木正三『万民徳用』を読む(上)
鈴木正三は、三河武士から出家して『盲安杖』や『万民徳用』を著した人物である。特に『万民徳用』では、「世法即佛(仏)法」を根拠に、士農工商それぞれの職分を全うすることが仏教修行に当たるとして、在家の教化に務めた。...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/05/20
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
朱子学と陽明学の違いは…王陽明の「心学」は一種の独我論
東アジアにおける近代の啓蒙~儒教と近代(4)王陽明の転換~陽明学の誕生と変遷
しかし朱子学は宿命的に、啓蒙の限界に行き当たらざるを得ない。王陽明の陽明学は、それへの反論として生まれた。だが陽明学は、やがて東アジアの近代化の中で、諸勢力の思惑に利用されていく。胡適や福沢諭吉の「浅い啓蒙」は...
収録日:2014/10/07
追加日:2015/01/31
光緒帝の皇后とその前で跪いた太った老人が泣いていた
20世紀前半の日中関係~この歴史から何を学ぶか(2)
本年2015年は戦後70年の節目の年。しかし、中国や韓国ではいまだに反日教育が行われ、日本においても特に現代史の教育の欠如は否めない。歴史認識という価値観以前に、事実理解のギャップに問題があると感じた島田晴雄氏...
収録日:2015/07/07
追加日:2015/08/06
「日没する処の天子」と書かれても煬帝が激怒しない理由
法隆寺は聖徳太子と共にあり(8)古代史の眺め方
「日没する処の天子」と書かれても、中国の皇帝は怒らなかった。その謎を解くには、この文言の前に書かれた部分を読解し、そして当時の国際情勢と突き合わせなければならない。法隆寺管長・大野玄妙氏が、学校では教えてくれな...
収録日:2016/03/09
追加日:2016/11/19
東大寺は「勧進帳」でも話題!復興に力を尽くした源頼朝
東大寺建立に込められた思い(5)「一枝の草」を持て
聖武天皇が東大寺の建立で呼び掛けたのは、心からの誠意を持ってそこに参加せよということだった。そうであれば、たとえ微々たる力しか提供できなくても構わない。ここに、東大寺建立の大きな意義があったと、東大寺長老・北河...
収録日:2016/03/08
追加日:2016/12/24
茶の哲学のベースにある老荘思想
岡倉天心『茶の本』と日本文化(3)茶の歴史と老荘思想
東京女子大学名誉教授の大久保喬樹氏が明治の美術運動家・岡倉天心と著書『茶の本』について解説。第3話では『茶の本』の第2章と第3章を取り上げる。茶の文化は禅僧により中国から日本に渡り、室町期に大きく発展した。天心は茶...
収録日:2018/05/22
追加日:2018/07/01
ヒンドゥー教と密接不可分なカースト制の特徴と問題点とは
宗教で読み解く世界(3)ヒンドゥー教とカースト制
インド最大の特徴はヒンドゥー教と密接不可分な関係のカースト制にある。支配階級、被支配階級を明確に区別し、社会の基本単位としてジャーティという多数の職業集団を規定している。この一見閉鎖的なカースト制を、橋爪大三郎...
収録日:2019/01/21
追加日:2019/06/02
聖徳太子と日本人…「実在しなかった」説の真相とは?
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(1)日本人の憧れ
2021年は聖徳太子の1400回忌にあたる。彼が創建したとされる法隆寺では100年に一度の法要が営まれ、夢殿本尊救世観音像などの特別開扉も始まっている。彼はなぜ千年の時を超えた強い憧れや尊敬の的なのか。また、「実在しなかっ...
収録日:2021/06/04
追加日:2021/07/16
困難なときにこそ立ち返るべき聖徳太子の理想と古典の知恵
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(6)古典に蓄積された知
聖徳太子への憧れは政治にも生かされたが、旅などを通じてその徳に触れ、自分を磨くチャンスも与えてくれる。このような「古典」を知っておくことは、人生を生きていく上で大きな力となる。日本社会全体が困難に当たっている現...
収録日:2021/06/04
追加日:2021/08/20
「ほんとうの幸福をさがす」ジョバンニの決意と青の世界
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(4)「ほんとうの幸福」
ブルカニロ博士がジョバンニに見せるふしぎな世界は、仏教に基づく人間意識の変遷を表すものだと鎌田氏は言う。色彩や光が与える効果も相まって、非常に謎めいたメッセージが届けられるが、そこには仏教的な世界観による宮沢賢...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/03/27
言霊の幸わう国とは?なぜ神様?「好去好来の歌」が描く日本
山上憶良「好去好来の歌」を読む(2)言霊の加護ある国の神様と遣唐使
山上憶良の「好去好来の歌」にはどのようなことが詠われているのか。言霊に加護された大和の国から荒海を旅する遣唐使の危険に対して、海上の道も陸上の道も大和の神々がきっと守ってくれると、その一首には詠まれている。ここ...
収録日:2024/04/02
追加日:2024/05/26
「和を以て貴し」とした聖徳太子の理想的社会像とは何か
法隆寺は聖徳太子と共にあり(3)「みんな一緒に」の精神
どちらか一方ではなく、仏も神も両方大事にする。一神教の信者からすれば信じ難いこの感覚こそ、多様性と調和を重んじる日本独特の宗教性を示していた。法隆寺管長・大野玄妙氏は、多様性も含めて「和」を強調した聖徳太子の発...
収録日:2016/03/09
追加日:2016/10/15
外来文化によって日本の神信仰はどのように強化されたのか
日本文化を学び直す(10)外来文化と日本の神信仰
日本は古代より独自の神信仰を持っていたが、それは外来文化の伝来によって薄れるどころか強化されていった。老荘思想の影響で神信仰は宇宙的広がりを持ち、儒教の思想が冠位十二階に採り入れられ、仏教が入ってくると政治と結...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/11/18
なぜカトリックに飛び込んだら、日本の核心が見えたのか
渡部昇一に学ぶ教養と明朗(6)先祖信仰とカトリック
カトリックは、キリスト教への信仰のなかから「魂の不滅」を掴む。一方、古来日本人は、「先祖が見ている」「子孫からも恥ずかしくない先祖になれ」というような考え方を通して「日本的な魂の不滅」を実感していた。渡部昇一先...
収録日:2020/09/09
追加日:2020/11/13
なぜ「無垢だった人たち」と一生涯対決するしかないのか
『ベラスケスのキリスト』を読み解く(6)偉大な宗教家のエキス
昔の仏教者の生き方は武士道そのままであった。日本への渡海に失敗して失明しても挫けず、ついに日本にやってきた鑑真も、その一人である。大事なのは「脱ヒューマニズム」だが、今の西洋文明はキリスト教のいいとこ取りにしか...
収録日:2022/08/02
追加日:2022/10/14
日本の歌を大切にしよう…中華文明の影響と脚下照顧の教え
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(3)グローバル・スタンダードと脚下照顧
『万葉集』は中華文明の影響を受けている。実際、当時の日本はグローバル・スタンダードである中華文明の知識を得、阿倍仲麻呂をはじめとした知識人たちを排出したのだ。しかし、このままではいつまでたっても自分たちの言葉で...
収録日:2022/09/13
追加日:2023/03/28
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
日本人にとって身近な「おみくじ」。しかし、その歴史を知る機会はあまり多くない。つい吉凶にばかり目が行きがちなおみくじだが、本当に受け取るべきメッセージはそこではないという。どういうことなのか。まず、おみくじの成...
収録日:2023/11/10
追加日:2023/12/20
中国にはかつて「孔子教」をつくろうと考えた思想家がいた
現代中国の儒教復興(3)儒教は宗教なのか
「儒教は宗教なのか」という問いは、非常に難しい問いである。果たして儒教は宗教なのか。宗教にはどのような問題があるのか。中国と日本における儒教の宗教化の動きとともに、中島隆博氏がこの問いに迫る。(全4話中第3話目)
収録日:2014/09/09
追加日:2014/11/26
水牛に突き刺され生死をさまよった男が出会った「老子」
中国古典思想に学ぶ~そのエッセンスとは(3)老荘思想との出会いと学ぶことの醍醐味
中国古典思想研究を老荘思想からスタートさせたと話す老荘思想研究者・田口佳史氏。そのきっかけは25歳の時。タイのバンコク郊外で生死の境をさまようほどの重傷を負う中、『老子』に出会ったという。中国古典思想を中心とす...
収録日:2014/10/29
追加日:2015/06/11
日中戦争はやがて世界の問題に拡大、そして敗戦・・・
20世紀前半の日中関係~この歴史から何を学ぶか(3)
本年2015年は戦後70年の節目の年。しかし、中国や韓国ではいまだに反日教育が行われ、日本においても特に現代史の教育の欠如は否めない。歴史認識という価値観以前に、事実理解のギャップに問題があると感じた島田晴雄氏...
収録日:2015/07/07
追加日:2015/08/06
法隆寺のお釈迦様は聖徳太子がモデル!生存中に造形が開始
法隆寺は聖徳太子と共にあり(6)「和」を広げる法隆寺
法隆寺にある仏像は、実は聖徳太子をモデルにしている。しかもそれは、彼がまだ生きている間につくられ始めた。法隆寺管長・大野玄妙氏は、こうした仏像作成法が中国に由来するものであると述べる。仏教には、教えが表面的に伝...
収録日:2016/03/09
追加日:2016/11/05
日本刀の似合う「武士道の書」とは
人間的魅力とは何か(特別篇2)死期を悟った日本男児たち
山岡鉄舟は、皇居に向かって座禅を組みながら亡くなったという。自分の死期を悟っていたのである。しかも、鉄舟の書が数多く残っているのは、廃仏毀釈で苦しんでいる仏教寺院を救うために、書を売ったお金を充てていたからであ...
収録日:2019/04/05
追加日:2019/07/26
日本人が大切にした「清明心」「正直心」の意味は?
日本の特性とは何か~「日本的」の本質(6)明浄正直と溜まり文化
日本は地理的特性として森林・山岳が多く、水に恵まれているため、「明浄正直」の心を持ち続けてきた。もう1つ、地理的特性として注目すべきは、ユーラシア大陸の東端に位置するという点だ。これによって、東アジアで生まれた思...
収録日:2020/01/08
追加日:2020/06/03
愛を認識する「魂」を向上させるために人間は生まれ、死ぬ
伝染病と死生観(5)魂は永遠で、肉体は借り物に過ぎない
武士道も仏教も禅も、すべては「無常」の哲学を表したものである。般若心経も「人間は死ぬ存在で、もともと何もない」という死生観を語っている。信者が次々に磔(はりつけ)になった原始キリスト教も、「死を思え=メメント・...
収録日:2020/04/24
追加日:2020/06/12
征夷大将軍も勅撰和歌集の撰者も「おみくじ」で選ぶ?
おみくじと和歌の歴史(2)おみくじのルーツ
おみくじには3つのルーツがある。1つ目が「和歌みくじ」、2つ目が「神仏の前で引く自作のくじ」、3つ目が「漢詩みくじ」だが、それぞれどのようなものなのか。また、歴史のなかでは、くじ引きで征夷大将軍が決まった「くじ引き...
収録日:2023/11/10
追加日:2023/12/27
山上憶良が「沈痾自哀文」の中で語った人間の価値とは
山上憶良「沈痾自哀文」と東洋的死生観(2)救済思想と人間の価値
「人の善悪は報われるのか」という山上憶良の問いは、古くは4世紀の中国仏教界を揺るがしたものであり、新しくはミュージカル『キャッツ』にみられる救済思想とも重なっている。ここで難しいのは因果応報思想との関係で、人間の...
収録日:2024/04/02
追加日:2024/07/19
川は急流、水は澄み切る―日本のリーダーの条件「清明心」
東洋思想を考える~東洋と西洋の融合と日本(2)日本の地理的特性と知的遺産
日本には地理的特性が二つあると語る老荘思想研究者・田口佳史氏。その特性は非常に特異なもので、そこから、世界のどこにもない、日本特有の精神性、文化が生まれている。そして、今も学べる知的遺産もある。そんな独特な日本...
収録日:2014/10/29
追加日:2015/07/09
空腹はサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活発化させる
クスリのいらない健康法(8)長生きに必要な「空腹の時間」
がんの若年化が進み、今や親が子どもの葬式をする「逆さ仏」現象の時代が到来しつつある。医師・石原結實氏は、その原因が食べ過ぎと食の欧米化にあるという。食べ過ぎるよりも空腹である方が、脳の働きを活性化し、長生きにも...
収録日:2015/06/14
追加日:2015/11/09