10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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吾妻鏡

『吾妻鏡』は鎌倉時代に成立した全52巻に及ぶ歴史書の大著。編纂統括者は北条貞顕とする説が有力だが、著者は不詳である。鎌倉幕府の正史ではないが、編年形式をとった日本初の本格的将軍年代記として意味を持ち、後世にもさまざまな影響を与えた。前半は源氏三代、後半は北条得宗家の歴史を記述しており、その内容は「源氏に厳しく北条に甘い」という特徴を持つ。「10MTVオピニオン」では、歴史家であり無類の読書家でもある山内昌之氏が、『吾妻鏡』の魅力をあますところなく紹介。源氏と北条に対する記述の相違点については、北条家が野心ではなく、より良い治世のために政権交代に乗り出したという正当性を訴えようとする意図があったからだと分析している。山内氏は本書が後世に与えた影響として、特に徳川家康への影響が大きかったと述べている。将軍補佐役の「御門葉」は「御三家」に、官職を二人制にして牽制し合う制度は、「町奉行」や「公事・勝手方」にと、家康が江戸幕府の制度と機能を維持する知恵を『吾妻鏡』から得たことは想像に難くない。本書には、鎌倉から江戸へと脈々と受け継がれた日本の政治的リーダーシップを考える貴重な手がかりがある。

アベノミクス

2012年に誕生した第二次安倍晋三内閣が掲げた経済政策である「アベノミクス」。その内容は、大胆な「金融政策」、機動的な「財政政策」民間投資を喚起する「成長戦略」を「3本の矢」から構成され、デフレからの脱却と更なる経済成長を目指すとした。自民党総裁選で再選した2015年には、以降3年間を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け、「一億総活躍社会」を目指すと発表、新「3本の矢」として「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」を挙げた。「10MTVオピニオン」では、公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、第一次アベノミクスのさまざまな問題を評価、そして、第二次アベノミクスについても総括し、今後の可能性を語る。

安保法(安全保障関連法)

2015年9月に成立した「平和安全法制整備法案」と新たに設定された「国際平和支援法」から構成される。平和安全法制整備法案は、自衛隊法の改正、重要影響事態安全確保法、船舶検査活動法の改正、国際平和協力法の改正等を含み、国際平和支援法は、「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」を新しく制定するもの。「集団自衛権の容認」「自衛隊の活動範囲、使用武器の拡大」「有事の際の自衛隊派遣までの国会議論の時間短縮」などが盛り込まれている。法案制定の最初の契機は、1991年の湾岸戦争である。日本は財政支援に留まらない国際貢献を求められ、1992年からPKO活動、2003年からイラクへの人道支援、自衛隊の海外派遣とその活動内容を徐々に拡大。2014年に集団的自衛権の行使容認を経て2016年の法案制定に至った。「10MTVオピニオン」では、慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏が、2015年の憲法審査会までさかのぼり安保法案制定がてこずった理由を分析。その後の日本の安全保障をめぐる問題を、国際環境の変化、憲法的秩序の維持、世界における日本の役割という3つの観点から論じている。また、国際協調の立ち位置を崩さずにアメリカ、国連、アジア諸国と関係を築いていく難しさを指摘し、今後の日本の方向性について考察を重ねている。

イスラム国 (ISIL)

2014年にシリアとイラクを横断する形でイスラム法に基づくカリフ国家の樹立を宣言したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」。中東だけにとどまらず、世界各国に広がった同組織によるテロ行為は国際社会を震撼させた。その出現は21世紀に入り、イデオロギー、社会、政治、地政学など、さまざま領域において変革を遂げた中東世界で、最も印象的な出来事の一つだといえる。「10MTVオピニオン」では、日本における中東・イスラム史研究の第一人者、山内昌之氏が、イスラム教の本質を紐解きながら、なぜイスラム国は生まれたのか、アメリカ、ロシアなどの大国との関係、それを取り巻く中東情勢など、中東世界を揺るがす「イスラム国(IS)」について、余すところなく解説する。

一帯一路

一帯一路は、中国が形成を目指す経済・外交圏構想。略称はOBOR(One Belt, One Road)。2013年に習近平国家主席が提唱し、2014年11月に中国で開催された「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」にて広く各国にアピールされた。陸路で中央アジアを経て欧州に続く「シルクロード経済ベルト」が「一帯」で、南シナ海からインド洋を通り欧州へ向かう「21世紀の海上シルクロード」を「一路」と呼ぶ。圏内にふくまれる国は約70か国。中国政府は、この構想を資金面で支える政府系投資ファンド「シルクロード基金」を2014年に設立、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立の主導も行なっている。2017年5月14~15日に北京で開かれた一帯一路国際協力サミットフォーラムには29か国の首脳が参加。安倍政権は自民党の二階俊博幹事長を派遣している。「10MTVオピニオン」では、国際政治学者で前政策研究大学院大学学長の白石隆氏が一帯一路をアメリカに対する、アジアからのカウンター・リバランシングと評価。今後のアジア各国の動向に注目するよう呼びかけている。また、歴史家の山内昌之氏、経済学者の島田晴雄氏らも、それぞれの専門分野から一帯一路の動きに注目している。

移民問題

「移民」とは、元来、命の安全、信仰の自由、生活の向上などを目的に、他国に人々が移り住む現象のことを指す。労働力が不足している国(多くの場合は先進国)が安定した収入をめざす開発途上国の人々を受け入れるケースは多々あり、「自由の国アメリカ」は「移民の国」として発展を遂げてきたと言っても過言ではない。しかし、21世紀の移民・難民問題は、その数の増加とともにさまざまな議論を招いている。他国からの移民の増加で自国民が労働機会を奪われたことによる深刻な経済格差、増大するテロの脅威などが原因である。2016年、イギリスはEU離脱を決断したが、EU圏内では労働者は自由に移動できるというEU法が大きな一因となっているのは明らかである。また、トランプ大統領は「あらゆる脅威からアメリカ国民を守る」という理由で移民排斥論を展開し、イスラム数ヶ国からの入国禁止、難民受け入れの一時停止などに関する大統領令を発令した。連邦地裁は執行停止を命じたが、2017月6月連邦最高裁はイスラム入国禁止に関しては「部分的に容認する」と決定し波紋を呼んでいる。「10MTVオピニオン」では、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、実際に見聞してきた欧州移民事情をレポートしつつ、グローバルな視点で移民問題を解説。また、慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏は、日本独自の移民に関する問題点を指摘、問題提起をしている。

エルドアン

2014年のトルコ大統領選挙に立候補して当選したレジェップ・タイップ・エルドアン大統領。民主主義国家の範と目されていたトルコだったが、エルドアン大統領による強硬外交は近隣諸国との対立を深めることとなり、首相時代から展開してきた隣国との問題ゼロ外交は破綻した。また、2016年7月に発生した一部のトルコ国防軍による武装蜂起は、一般市民や警察官に多数の犠牲者を出しながら最終的には鎮圧されてたが、このクーデターの失敗はさまざまな面で変革や波及効果を生んだ。トルコが長年の敵ロシアと歩み寄っているのはなぜなのか、トルコはシリア問題に対してどのような外交を展開していくのか、「10MTVオピニオン」では、イスラム情勢に詳しい歴史学者で東京大学名誉教授の山内昌之氏がトルコ・エルドアン大統領の外交を解説する。

王陽明

王陽明(1472~1529)は、中国明代の儒学者、思想家であり儒学の一派、陽明学を提唱した。もともとは明の官学であった朱子学を学び、科挙合格後、官僚の道を歩みながら勉学を続けていた。その後、宦官との対立で僻地に左遷され、思索を重ねるにつれ朱子学に批判的姿勢を持つようになり、新学説である陽明学を打ち立てた。著書『伝習録』等に書かれている陽明学の思想の根本は「心即理」(「性」・「情」をあわせた心そのものが「理」であるという倫理実践原理)、「致良知」(誰もが先天的にもつ良知に従えばその行動は善である)、「知行合一」(「知・認識」と「行・体験」は不可分のものである)等のキーワードに集約されると言ってよいだろう。以上のキーワードからも分かるように、王陽明は単なる「思索の人」ではなく行動の人でもあったのだ。「10MTVオピニオン」では、中国哲学者でありながら西洋哲学にも詳しい東京大学東洋文化研究所教授の中島隆博氏が、王陽明とその思想について解説。特に、朱子学との比較において「啓蒙」の問題に着目。朱子学が内面の自己啓蒙について限界に突き当たったのに対し、陽明学では内面の自己啓蒙に徹し、一種の強烈な独我論を展開するに至ったと述べている。東アジアでは近代に入って自我の問題に直面した時、陽明学を内面の啓蒙に貢献できるものとして導入し、西洋近代化への精神的足がかりとした。

沖縄問題

第二次世界大戦後、米軍の直接統治下にあった沖縄が日本に返還されたのが1972年。以降、沖縄をめぐる問題は国内外で物議を醸してきた。とりわけ、ニュースを賑わせているのは、普天間基地の辺野古移設問題だ。これは、1995年の沖縄米兵少女暴行事件に端を発した問題で、2017年現在、沖縄県と国の対立は、法廷闘争に発展しながら続いている。この沖縄問題を考えるとき、アメリカの世界戦略と沖縄の歴史的役割を理解する必要がある、と公立大学法人首都大学東京理事長、島田晴雄氏は語る。「10MTVオピニオン」では、島田氏による沖縄問題の発端とその背景、これまでの経緯、沖縄の歴史、アメリカの思惑など、複雑に入り組んだ問題を整理してわかりやすく解説する。

革命防衛隊

イスラム革命防衛隊、またの名をイラン革命防衛隊はイランの軍隊組織の一つ。イスラム共和国体制の維持、安全保障のために、イラン・イスラム革命を契機に、正規の軍事組織であるイラン・イスラム共和国軍とは別途設けられた精鋭部隊である。徐々に規模を拡大し、現在では大規模な弾道ミサイル部隊も保有している。また、密輸や義勇兵部隊による宗教宣伝など、正規国軍とは異なった方法による戦闘活動を行っている。アサド政権支援のために革命防衛隊がシリアに軍事介入していることはイラン政府も認めており、また、2017年に入ってからのテロ行為の報復として、シリアのIS(イスラム国)支配地域にミサイル攻撃を行うなど、事実上ISとの対決の最前線に立っているのもこの革命防衛隊である。「10MTVオピニオン」では、中東情勢に精通する歴史学者・山内昌之氏が、イスラムシーア派の盟主国イランとスンナ派盟主国サウジアラビアの歴史的対立、イランのウラン濃縮に関する最終合意と米欧の思惑、中東と物理的に離れてはいても、もはや「対岸の火事」的態度は許されない日本の立ち場などを踏まえ、中東情勢を歴史、宗教、地政学的観点から縦横無尽に分析、解説している。中東は第三次世界大戦の火種であり、イランの革命防衛隊はその導火線の一つと言えるだろう。

課題先進国

「課題先進国」とは、世界に先駆けて多くの課題を抱え、その解決に向かおうとしている国を指す。東京大学第28代総長で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏が、明治維新から第二次世界大戦敗戦、そして戦後復興という日本の劇的な歴史的背景に、研究者として過ごしたアメリカでの経験等を交え導きだした、日本にとっての重要キーワードである。「10MTVオピニオン」では、『「課題先進国」日本』(中央公論新社)の著書を持つ小宮山氏が、課題先進国に関する多数のレクチャーを展開。エネルギー、環境、少子高齢化、いずれの問題も日本が世界に先んじて経験している課題であり、解決すればそれが世界にとっての新しいモデルになる、と説く。現在、先進国は食べ物、情報、生活手段のあらゆる面で飽和状態にあり、そこからさまざまな新たな課題が生まれているわけだが、小宮山氏は「飽和」を「自由」と読み替えることを提言。そうすることで、たとえば、世界で初めての高齢化社会の医療モデルを作る、食料自給社会を目指す、画期的な省エネ技術を開発する等、ピンチをチャンスに変える発想で臨めば、日本が「課題先進国」から「課題解決先進国」に脱皮することも可能になってくる。小宮山氏はこのような日本の方向性は、フロントランナーになることを恐れないマインドに支えられていると述べている。

岸信介

岸信介(きし のぶすけ。1896~1987)は、日本の政治家、官僚。山口県出身。佐藤家の出で父方の実家を継ぐ。東京帝国大学法学部を卒業後、農商務省に入省。満州国実業部次長を経て1940(昭和15)年商工次官。1941年、東条内閣の商工相となり戦時経済体制を推進。戦後A級戦犯として逮捕されたが1948年に釈放され、親米派・保守党内タカ派として日本再建連盟を結成、政界に復帰する。1957年、第56代内閣総理大臣就任。1960年には国民的反対運動の中で新日米安保条約批准を強行。直後に総辞職。後継者福田赳夫などを通じて影響力を行使し続けて「昭和の妖怪」と呼ばれる。晩年は自主憲法やスパイ防止法の成立を目指した。1979年国連平和賞受賞。第61・62・63代内閣総理大臣佐藤栄作は実弟、第90・96・97代内閣総理大臣安倍晋三は孫に当たる。「10MTVオピニオン」では、元朝日新聞主筆若宮啓文氏や外交評論家の故・岡崎久彦氏など、多くの講師陣が岸信介の事績を振り返り、「その影を追っている」とされる安倍首相の思想を理解するための一助としている。

議院内閣制

議院内閣制とは、政府(内閣)が議会(あるいは下院)の信任によって存立する政治制度。アメリカを筆頭に多くの国で見られる大統領制、大日本帝国憲法下の日本に見られた超然内閣制などと同様に、議会と政府との関係から見た政治形態の一つ。スイスのように議会が政府の機能を完全に支配する議会統治制も広い意味では、議院内閣制のうちに含まれる。イギリスで生まれた政治制度であり、1215年成立したマグナ・カルタで全ての実権を握っていた国王が司法、立法、行政の権限を失うことで、議会の存在こそが中心となる現在のような議院内閣制が生まれた。「10MTVオピニオン」では政治学者で慶應義塾大学教授の曽根泰教氏が、「法の支配“Rule of Law”」を根本精神とするマグナ・カルタの制定から約800年がたった今、もう一度その精神を考え直す必要性を説き、解説している。また、日本のような議院内閣制では、衆議院と内閣のねじれは起こり得ないが、アメリカのような大統領制では、大統領選挙、衆議院選挙、さらに上院・下院選挙と、三つの選挙の結果が異なる場合も多々あり、ねじれが非常に起きやすいなど、議院内閣制と大統領制の徹底比較を行っている。

クルド人

クルド人は、世界最大の「国を持たない民族」と呼ばれている。少数民族に分類されるが、その数は2500万から3000万人にのぼる。クルディスタン(クルド人の国)と呼ばれる山岳部が彼らの故郷で、中世から近世にかけては強大なオスマン帝国の一部として、伝統的な暮らしを営んでいた。彼らが「国」を失うのは、第一次世界大戦後のサイクス・ピコ協定に基づいて、イギリス・フランス・ロシアによって引かれた恣意的な国境線により、トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアに分断されたことが原因である。近年のシリア紛争を受けて難民となり、ドイツやフランス、スウェーデンなどヨーロッパ各地に移民した者も多い。クルド人の建国独立欲求は高く、そのことがシリア紛争における地上戦闘力として直接ISに対峙する姿勢に現れている。  「10MTVオピニオン」では、歴史学者で日本における中東情勢の第一人者である山内昌之氏が、帝国の滅亡と民族紛争の関係、刻々かわる中東の地政学的変動とその裏で駆け引きを繰り返すアメリカとロシアなど、さまざまな角度から「クルド人」の問題に光を当てている。

黒田バズーカ

2013年3月、第31代日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏が行った思いきった金融緩和政策の俗称。その大胆さ、市場に与えた衝撃の大きさなどからバズーカ砲にたとえられる。第一弾の「黒田バズーカ」は日銀総裁就任直後の2013年4月。長期国債の買い入れの他、2%の物価安定を目標とし、量的・質的金融緩和に踏みきった。第2弾2014年10月の追加金融緩和政策ではさらなる金融市場調節、国債買い入れを行い、グローバル市場における株価上昇、円安進行などを招いた。しかし、日本国内ではデフレ脱却の兆しが見られず、2016年1月、第3弾としてマイナス金利導入が発表された。こうした何本もの「黒田バズーカ」にもかかわらず、消費者物価低迷は続き、2017年4月には黒田氏が「物価目標が安定的に2%を超えるのは2018年度よりも先」と見通しの先送りを行っている。「10MTVオピニオン」では、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏、学習院大学国際社会科学部教授・伊藤元重氏らが、アベノミクスの分析等も交えながら、日銀金融政策、市場への影響等を解説。また、国際金融アナリストの菅下清廣氏が、国内外の政治、経済、金融事情を踏まえながら、市場の動向を折りにふれ解説している。

講孟余話

『講孟余話』とは、江戸時代末期、吉田松陰が儒教の経書の一つである『孟子』を読み、その注釈や所感、意見等をまとめたもの。松陰の獄中、あるいは出獄後の幽閉期間の講義をまとめてある。音読、さらには筆記を重ねて孟子の思想に迫った松陰は、本書の序文で孟子におもねることを戒めている。この点からも本書が単なる経書の注釈書ではなく、孟子を通して松陰の思想を語ったものであることがよく分かる。「10MTVオピニオン」では、東洋哲学に造詣の深い東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏が、『講孟余話』から読み取れる松陰の思想の中核たるものを解説。松陰の思想は、人々を平等に扱うものであり、その点で孟子の民本思想とつながり、初期の思索においては孟子的な革命観に準じていたのだが、やがて松陰は孟子的部分を突破して近代的な革命観に近づいていったと中島氏は語る。また、松陰が性善説を道徳倫理ではなく、政治の問題として読もうとしたこと、「独と同」すなわち各国の「特殊と普遍」を手がかりに、他国とのつきあいを重要視したことから、松陰の思想の現代性を見出している。松陰の思想は中島氏いわく、他国との関係を築いていくうえで日本という原理を常に念頭に置いた「現在進行形の思想」なのだ。

国際通貨基金(IMF)

国際通貨基金(International Monetary Fund, IMF)は、国際金融並びに為替相場の安定化を目的として1945(昭和20)年12月に設立された国際連合の専門機関である。1944年7月、米国ニュー・ハンプシャー州のブレトン・ウッズにおいて開催された連合国国際通貨金融会議において調印されたIMF協定に基づくもので、日本は1952年8月13日に加盟している。2016年現在で加盟国は189か国にのぼる。IMFの主な目的は、加盟国の為替政策の監視(サーベイランス)や、国際収支が著しく悪化した加盟国に対して融資を実施することなどを通じて、(1)国際貿易の促進、(2)加盟国の高水準の雇用と国民所得の増大、(3)為替の安定、などに寄与することとなっている。「10MTVオピニオン」では、政治学者で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・曽根泰教氏がIMFを核とする「ブレトン・ウッズ体制」を世界における「戦後レジーム」の一例として、新たな見方を提案している。

自然エネルギー

自然エネルギーは、「水力、風力、地熱、太陽光、バイオマス、波力」といった発電可能なエネルギーをいう。利用してもその量が減少しないという特徴を持ち、「再生可能エネルギー」とも呼ばれる。石油や石炭などの化石燃料も自然由来であるが、使用すると元に戻らず、限りがあるため、「枯渇性エネルギー」と呼ばれる。「10MTVオピニオン」ではエネルギー学者で認定NPO環境エネルギー政策研究所所長である飯田哲也氏が、世界中で加速する「自然エネルギー100%」のトレンドを解説。主に北欧諸国が先導するエネルギー分野の構造変化をレクチャーする。世界の水資源研究の第一人者で、東京大学生産技術研究所教授・沖大幹氏は、モンスーン気候のアジアでこそ可能な「小水力発電」の可能性を説く。さらに、第87-89代内閣総理大臣小泉純一郎氏や経済学者で首都大学東京理事長を務める島田晴雄氏は、日本の成長戦略の一つとして自然エネルギー分野に着目。この分野における技術開発こそ、日本再生のカギであると持論を展開している。

司馬遷

司馬遷(BC145頃~BC86頃)は、中国・前漢時代の歴史家。司馬氏は周代の記録係であり、父司馬談の跡を継いで天文・暦法や典籍・歴史を司る官職「太史令」に任官する。暦法の改革に参加し、太初暦を採用。BC99年、匈奴の捕虜となった李陵を弁護したため、武帝の怒りにふれ宮刑に処せられる。絶望と屈辱の中、彼は父の遺志を継いで『史記』を完成させることを目標とする。BC97年に出獄後は執筆に専念し、BC91年頃、紀伝体を用いた二千数百年間の歴史書『史記』が完成した。『史記』を貫く思想は「天道是か非か」の問いだと言われる。古代中国において「超越的な存在の意志が発露したもの」と思われていた歴史に新たな光を当て、当時の漢の価値観からの論評をあえて加えず、事実のみを淡々と著述した内容は後世の評価が高い。また、王侯や英雄のみを素材とせず、民間の人物を取り上げた「遊侠列伝」「貨殖列伝」等、多様な歴史観を披露したのは、司馬遷自身に「奇(人物の類稀な才能)を好む」性向があったからだと言われる。「10MTVオピニオン」では、歴史家の山内昌之氏が自著『歴史とは何か』を通じて、司馬遷に言及。単純に正義を実現せず、時に不条理と言える歴史の厳しさに正対した彼の傑出ぶりを紹介している。

聖徳太子

日本人なら誰もが学校の歴史の授業でその名前を知ることになる飛鳥時代の人物「聖徳太子」。同時に複数の人の話を聞きながら、その話をすべて理解し的確な返答をしたという故事や、遣隋使を派遣して中国の文化・技術・制度を学び、「冠位十二階」や「十七条憲法」を制定、天皇を中心とした中央集権国家体制の確立したことはよく知られている。また、仏教を日本に広めることに注力したことでも有名で、世界最古の木造建築として有名な法隆寺も聖徳太子が建立したと言われる寺院の一つである。「10MTVオピニオン」では法隆寺管長である大野玄妙氏が、十七条憲法にある言葉「和を以て貴しとなす」の「和」とは何か、聖徳太子が残した法隆寺は、現代に生きる私たちに何をもたらしたのか、など聖徳太子と法隆寺の関係を語る。

食文化

食文化は、食にまつわる文化のこと。食材、調理法といった食品に関わるものから、食器、マナー、外食産業などにいたる多くの物事のあり方がふくまれる。民族や国家、宗教、風俗などにより、それぞれ固有で多様な食文化が世界には存在する。また、麺類のように交易などを通じて、文化圏を越えて食文化が伝播する場合もある。現代社会においては、グローバリズムの進展に伴い、諸地域の食文化が均一化の方向に向かっていることが懸念されている。特に欧米企業を主体としたファストフード、インスタント食品やスナック菓子などの流通に対して、郷土料理の見直し、地産地消、スローフード運動が起きている。日本では、2013年12月、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことから、豊かな食文化の継承が見直されている。「10MTVオピニオン」では、食文化評論家で農学博士の小泉武夫氏が和食の魅力とパワーをレクチャー。自身の専門分野である「発酵」の見地から、また食料自給率の見地から、食生活の重要性を見直すよう呼びかけている。

シリア内戦

シリアのアサド大統領の独裁政治体制に対して、2011年ごろから始まったアラブ世界における民主化運動「アラブの春」によって生じた人民たちの反抗として始まった「シリア内戦」。しかし、この「内戦」という言葉は、現在のシリアの状況を補足するには完全なものではない。歴史学者で東京大学名誉教授の山内昌之氏は「内戦」を「国民が二つ以上の陣営に分かれて戦う」と定義し、アサド政権が持ちこたえている理由として、外国勢力による介入と援助を挙げ、シリアの状況は「内戦」に当てはまらないとしている。人口2200万人のうち400万人が国外難民となり欧州に押し寄せ、国内でも700万人もの住民が難民化しているシリアには一体、今何が起きているのか、詳しく解説する。

シリア問題

中東諸国で起こった民主化運動「アラブの春」に端を発し、アサド政権に反抗する運動が始まったシリア。この「内戦」により発生した400万人の難民は欧州にまで流れ込み、欧州各国でも社会の混乱が生じた。また、国際社会のシリアをめぐる「不一致」も大きな問題となっている。アメリカや欧州はアサド政権の独裁こそが「アラブの春」以降の混乱をきたした原因だとして責任を追及しているが、イスラム国(IS)が出現して以来、アサド政権とISを同時に打倒するシナリオは描けていない。一方、ロシアは国際的な脅威であるISと戦うには、アサド体制を受け入れることも辞さないという考えだ。歴史学者で東京大学名誉教授の山内昌之氏は、この複雑に入り組んだシリア問題を周辺のアラブ諸国やアメリカ、ロシアなどの大国など、シリアを取り巻く国際社会の思惑、事情を含めて解説する。

シンギュラリティ(技術的特異点)

「シンギュラリティ」は人工知能(AI)研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏が提唱した概念で、日本語では「技術的特異点」と呼ばれ、AIが人間の能力を超える時点を指す。2016年にはGoogle傘下の英Google DeepMind社が開発した囲碁AI「アルファ碁」が囲碁の世界的なトッププレイヤーとの対決で4勝1敗と勝ち越し、「シンギュラリティ」の到来を予感させた。しかし、計算能力であれば、既に人間の能力を超えており、部分的な能力でAIが人間を凌駕したことは、今さら驚くことではない。問題はAIによって、技術革新への対応の遅れが、どんどん目立つようになっていることだと東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏は指摘する。「10MTVオピニオン」では他にも「シンギュラリティ」を迎える時代に日本が抱える問題を解説する。

真珠湾

2016年は日本戦後史にとって、新しい一ページを加えた年となった。それは、5月27日にアメリカのオバマ大統領(当時)が、広島訪問で核廃絶を訴えるスピーチをし、ちょうどその7ケ月後の12月27日に、今度は安倍晋三首相が真珠湾を訪問し、真珠湾攻撃の犠牲者の慰霊をしたからだ。1941年(昭和16年)、ハワイオアフ島真珠湾にあったアメリカ海軍の基地を12月8日未明、日本海軍が攻撃。この奇襲、いわゆる「真珠湾攻撃」により日米開戦の火ぶたがきられた。「10MTVオピニオン」では、元上智大学名誉教授・渡部昇一氏が、真珠湾攻撃に至る秘話を紹介。すなわち、御前会議で開戦手続きをきちんととるようにという命があったにも関わらず、外務省の出先機関の不手際が原因で、最後通告が届く前に真珠湾攻撃が行われてしまったのである。結果、真珠湾攻撃はアメリカから見れば「だまし討ち」の形をとったこととなり、アメリカ人の日本に対する敵対感情を激化させた。さらに、海上自衛隊自衛艦隊司令官・山下万喜氏、政治学者・曽根泰教氏、ジェラルド・カーティス氏ら多彩な講師陣が、真珠湾を素材に、リーダーの意思決定プロセス、大統領、首相演説の政治的文脈など多様な切り口で解説をしている。

持続可能性(サステイナビリティ)

持続可能性(サスティナビリティ)とは、広く一般にはシステムやプロセスが持続できることをいう。将来世代にとっても、また現世代内においても、すべての人が人間らしい生活を営むために公平な状態を保てることを指す。サステイナビリティー。環境面では、生態系を破壊せず生物資源を長期的に維持できる利用条件を満たすこと、その他、経済、福祉、政治、文化等の水準が長期的に維持可能であることをいう。たとえば、「10MTVオピニオン」では、東京大学生産技術研究所教授・沖大幹氏が持続可能な社会、すなわち自然共生型・低炭素型・循環型社会を実現するには、食料・エネルギー・水問題を三位一体で考えていかなければならないと解説。また、筑波大学名誉教授R・ターガート・マーフィー氏は、戦後日本の奇跡的な経済復興と高度成長の経緯を分析し、米ドルを基軸通貨としてこその経済発展モデルの持続可能性を論じている。その他、持続可能性をキーワードに、社団法人日本医師会副会長・今村聡氏が世界に誇るべき日本の保健制度を解説するなど、多種多彩なレクチャーを展開している。

重職心得箇条

『重職心得箇条』とは、江戸時代の著名な儒学者・佐藤一斎が、臣下としての心得を記した書で、聖徳太子の十七条憲法の形式にのっとり十七箇条から成っている。佐藤一斎は本書の冒頭で「重職」について述べているが、これは「重大事の担当者」ということ。重責に就いたからこその覚悟を決めた人、国の非常時を引き受ける人が政治の要となるとみなし、この書を著した。人材育成、非常時と平時双方の心構え、部下の使い方、実績に結びつく仕事の仕方やその場しのぎではない指示の出し方など、その内容は多岐にわたり、上に立つ者とそれを支える者のための心得が記されている。人を柱とした現代の経営管理にも通じる内容ゆえに、「十七条の経営憲法」とも呼ばれ、各界のリーダーたちに読み継がれてきた。「10MTVオピニオン」では、老荘思想研究をベースに現代にも通じるリーダーシップを論じる田口佳史氏が、「臣下のフォロワーシップがあって初めて、真のリーダーシップが発揮される」として『重職心得箇条』に着目。幅広い知見をもとに本書を読み解き、部下もトップも必見のリーダーシップ論を展開している。

儒家思想

儒家思想は、東周春秋時代に孔子によって体系化された。老荘思想とともに中国古典思想を代表するものとされる。『論語』『大学』『中庸』『孟子』及び『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の四書五経をもって経書とする。仁・義・礼・智・信を説き、親と子、君主と臣下などの関係の範とすべきものを示していることから、日本の精神風土にも受け入れやすく、古くから学問として儒教の素養を積むことが重視された。「10MTVオピニオン」では、中国古典思想に精通する田口佳史氏が、儒家思想が「人間を救済できるのは人間だけである」という理念に基づいて発展してきた点に着目。儒家思想自体がリーダーシップ論になっているという観点のもと、『大学』『孟子』『書経』などの原文を読み解きながら、中国古代から現代日本に一気通貫する普遍的リーダーシップ論について解説している。人間は、善を成すために天の代わりに生まれてきたものという「天命論」をベースにした儒家思想では、個としての修養を積み、存在そのものが説得力を持つような人間となることを説いている。強さと優しさ、剛柔を兼ね備えた東洋的リーダーシップの真髄を学ぶ。

貞観政要

『貞観政要(じょうがんせいよう)』は、中国史上有数の名君と称えられる唐の太宗(李世民)が臣下と行なった政治論議を分類・編集した書。「貞観」は太宗の治世した年号(627-649)で、後年「貞観の治」と呼ばれるように社会は安定し、経済は繁栄をみた。編纂したのは唐代の呉兢(ごきょう)。全十巻は「君道篇」「政体篇」「求諫篇」「納諫篇」などに分かれ、古くから中国では帝王学、とりわけ長期政権のための教科書とされてきた。日本にも平安時代には伝来し、時折天皇への進講が行なわれている。鎌倉時代の北条政子が日本語訳させたこと、徳川家康がこの書物を愛し、印刷させたことでも有名だ。「10MTVオピニオン」では、老荘思想研究者の田口佳史氏が、『貞観政要』の読解を15回に分けてレクチャー。リーダーシップのあり方はもとより、創業と継承のそれぞれに異なる難しさ、反面教師からの学び方など、現在のビジネスに活用できるさまざまな教えを引き出している。

人工知能(AI)

近年、人工知能(AI)の進化は目覚ましい。なかでも注目されているのは、「ディープラーニング」という技術だ。この技術により人工知能「アルファ碁」が囲碁のトッププロ棋士に勝利したことは記憶に新しい。「ディープラーニング」は簡単にいえば「認識ができる技術」のことだ。この画像認識の精度は飛躍的に向上し、コンピューターに「運動の習熟」「言葉の意味理解」をもたらした。東京大学大学院特任准教授・松尾豊氏は、「今こそ日本の製造業は明確な計画を持ち、AIの未来に先行投資すべきだ」と語る。「10MTVオピニオン」では、人工知能の進化「ディープラーニング」とはどういうものか、それによって社会、ビジネスはどう変わっていくのか、松尾氏をはじめとする専門家が解説する。

戦後レジーム

「戦後レジーム」は、第二次世界大戦後に確立された世界秩序の体制や制度を指す言葉。フランス革命時に旧体制を指した「アンシャン・レジーム」を踏まえた安倍晋三首相の造語である。安倍首相は、第一次内閣期の2016年12月に「戦後レジーム」を「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組み」と定義し、2007年1月の内閣総理大臣施政方針演説で「『戦後レジーム』からの脱却」を宣言している。「10MTVオピニオン」では、慶應義塾大学大学院教授の曽根泰教氏が、「戦後レジーム」は日本だけではなく、世界の話であることを指摘。ブレトンウッズ体制崩壊後も続くIMFのあり方をはじめ、戦後70年(当時)のほとんどの期間の政権を担当した自民党、さらには戦後の思想史における「リベラル」の扱いについて、鋭く問題提起している。

前立腺がん

現在、前立腺がんの罹患者が先進国で急増しており、日本もその例外ではない。原因として考えられるのは、食生活の変化である。脂肪が前立腺がんの一番のリスクであり、摂取量の多さが前立腺がん発症に直結している。今までアジアでは比較的前立腺がんが少なかったのは、発症を抑制する効果のある大豆を多く食べる食習慣にあるのではないか、と考えられている。治療法は摘除手術が主流で医療技術は日々進歩しているが、なかでもアメリカで開発された内視鏡手術ロボット「ダヴィンチ」は正確性、安全性、技術伝承性の全てを実現するイノベーティブな先端医療機器として期待されている。日本には2012年から前立腺がん手術が保険診療に承認され、アメリカに次ぐ第2位の普及国となっている。技術革新で高精度の手術が可能となる一方、保険診療の領域が限られている、輸入医療機器の価格が高い、集約性の低さ、効率の悪さなど、医療経済面での課題は多い。「10MTVオピニオン」では、順天堂大学医学部大学院医学研究科教授であり泌尿器科医として豊富な経験をもつ堀江重郎氏が、前立腺がん治療の最前線、及び医療現場の課題に言及。また、患者や家族を医療上の意思決定に参加させるSDM、「シェアード・ディシジョン・メイキング」の重要性を説いている。

長州藩

長州藩は、江戸時代に周防国と長門国を領有した外様の大藩。通常、長府、徳山、清末、岩国の4支藩を含めて長州藩と呼ばれる。藩主は代々毛利氏で、藩祖は元就(もとなり)。現在の山口県であり、萩藩、山口藩、毛利藩と呼ばれることもある。幕末には尊王攘夷運動の拠点となり、蛤御門の変、第1次長州征伐を経て、第2次長州征伐に勝利、薩摩藩と連合して明治維新を主導した。明治新政府に、木戸孝允、伊藤博文、井上馨、山県有朋、大村益次郎らの人材を輩出。また、萩城下に置かれた吉田松陰の松下村塾には、藩校で学べない下士の子弟を中心とする俊才が集まり、尊攘派志士の拠点となった。「10MTVオピニオン」では、『幕末維新に学ぶ現在』などの著書もある歴史学者、山内昌之氏をはじめ、東京大学東洋文化研究所副所長の中島隆博氏、衆議院議員で農林水産副大臣を務める齋藤健氏などが、長州藩の非凡さに着目。子弟教育に賭けた長州藩のメンタリティや吉田松陰のエートスについてレクチャー。近代日本をつくりあげ、動かしてきた原動力や日本的リーダーシップのあり方に思いを馳せる。

TPP(環太平洋経済連携協定)

太平洋を囲む国々がモノとカネの行き来を活発にして、自由な経済圏を作ろうとする取り組みであるTPP(環太平洋経済連携協定/環太平洋パートナーシップ協定)。2016年には参加12カ国が協定文書に署名し、日本でも国会で承認され、関連法も成立したが、以前からTPPに否定的な発言を繰り返していたアメリカのトランプ大統領は2017年の大統領就任直後、正式にTPP離脱に関する大統領令に署名した。アメリカの離脱により、現在休眠状態のTPPだが、アメリカを除いた11カ国での「TPPイレブン」という新しい動きも出てきている。「10MTVオピニオン」では東京大学名誉教授で学習院大学国際社会科学部教授の伊藤元重氏をはじめとする経済の専門家がTPPの行方と今後の日本の通商戦略にどのような影響を及ぼすのか、詳しく解説する。

低炭素社会

低炭素社会は、二酸化炭素やメタンなどの温暖化ガスを極力排出しない社会のこと。石油などの化石燃料に過度に頼らずに自然エネルギーを活用し、大量生産・大量消費社会を脱して循環型社会に変貌することを意味する。2007年に行なわれたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告を受け、日本では2008(平成20)年に「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定された。主な目標は太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの活用促進。たとえば太陽光発電については2020年までに2008年の10倍、2030年までに40倍に増やすという数値目標が示された。2009(平成21)年12月には、第28代東京大学総長の小宮山宏氏をセンター長とする低炭素社会戦略センター(LCS)が、独立行政法人科学技術振興機構の組織として設置されている。「10MTVオピニオン」では、LCSセンター長の小宮山宏氏が行なった「持続可能で明るい低炭素社会」の連続講義を紹介。環境、経済、テクノロジーなど、さまざまな側面から見た人類社会の「飽和」とその解消のヒントとなる「低炭素」の役割が見てとれる。

テストステロン

男性の成長に大きく関わるため、一般に「男性ホルモン」と呼ばれている「テストステロン」。このホルモンは医学的な面だけでなく、社会的な面にも作用することがわかっている。一般的に、この値は20代をピークに下がっていくものだが、この値が高い人は、新しいことにチャレンジする意欲が高くなる、社会的に公平・公正な考え方を持ちやすくなる、嘘をつきにくいといった傾向があることがわかっている。また、最近の研究では、このホルモンを減らさないことが認知症予防や治療につながるのではないかとも期待されている。「10MTVオピニオン」では、順天堂大学医学部大学院医学研究科教授、堀江重郎氏が「テストステロン」とはどういうものなのか、その値を低下させないためにはどうすれば良いのか、詳しく解説する。

テロ対策

テロは英語の「テロリズム(Terrorism)」を略した和製英語で、政治的目的を達成するために暴力および暴力による脅迫を用いることを指している。世界におけるテロの発生件数は2001年9月の米国同時多発テロ事件以来、上昇し続け、2014年のISIL(イラク・レバントのイスラム国)樹立宣言を経て、急激な増加を見せている。日本にとってもテロは対岸の火事ではなく、外務省は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国内のテロ対策強化を重要なテーマと目している。「10MTVオピニオン」では、中東事情に詳しい歴史家・山内昌之氏が「テロ抑止の3つの処方箋」を提案。テロ対策を「事故対応型」から「発生予防型」にスイッチする重要性を強調している。また、欧州人テロリスト(ホームグロウン・テロリスト)を育ててしまったヨーロッパの土壌やマルチ・カルチャリズムの持つ脆弱性にも踏み込んでいる。また、元海上自衛隊佐世保地方総監の吉田正紀氏は、冷戦終結後の日本の安全保障戦略の変化をサマライズ。テロなどの有事の際に国民のコンセンサスが必要な自衛隊のあり方にふれている。

東京裁判

「東京裁判」は極東国際軍事裁判の略称。第二次世界大戦で日本が降伏した後の1946年5月3日から1948年11月12日にかけて、東京・市ヶ谷の旧陸軍省参謀本部で行われた。被告人は東条英機元首相をはじめとする日本の指導者28名。「平和に対する罪(A級犯罪)」で有罪になった被告人は23名、通常の戦争犯罪(B級犯罪)で有罪になった被告人は7名。病死した2名と病気により免訴された1名を除く25名が有罪判決を受け、うち7名が死刑となった。この裁判では、判事11名全員が戦勝国(アメリカ・イギリス・オランダ・フランス・ソ連・中華民国・オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・インド・フィリピン)から派遣され、明確な国際法違反であるアメリカ軍による東京大空襲や原爆投下などの行為については、一切の責任を追及しないという不公平が禍根を残したと言われる。判事のうち、インドから派遣された国際法の専門家パール判事のみが日本側全員の無罪を主張したことも印象深い。「10MTVオピニオン」では、『「東京裁判」を裁判する』の著書もある評論家の故・渡部昇一氏が東京裁判の実態と、後世にもたらした影響について、レクチャーしている。

鄧小平

鄧小平(とう しょうへい、中国語読みはドンシャオピン。1904-1997)は、中華人民共和国の政治家である。フランス留学中に中国共産党に入党、帰国後は革命運動と長征に参加し、1945年に党中央委員となる。1965年からの文化大革命では劉少奇とともに「党内の資本主義の道を歩むひと握りの実権派」と批判されて失脚するが、1973年副総理として復活。周恩来首相の死後に起こった第一次天安門事件では弾圧の責任者として再び失脚する。その後も多くの政争をくぐり抜け、1983年国家軍事委員会主席として中国の事実上の最高実力者となる。1989年には第二次天安門事件が勃発。〝最後の皇帝〟として独裁的支配を強める鄧小平への不満が引き起こしたとされる。1985年頃から彼の唱えた「先富論」は、「先に豊かになれるものたちを富ませ、落伍したものたちを助ける」ことを基本原則とするもので、中国の経済発展をスタートさせた。その思想は李克強首相にも受け継がれている。「10MTVオピニオン」では、経済学者で首都大学東京理事長を務める島田晴雄氏が「鄧小平時代の高度成長モデル」を分析。世界経済においてプレゼンスを高める中国理解の助けとなっている。

ドナルド・トランプ

2016年アメリカ大統領選挙で、大方の予想に反して、民主党のヒラリー・クリントン氏を破り、第45代アメリカ合衆国大統領に就任した共和党のドナルド・トランプ氏。「不動産王」として莫大な富を築いた実業家でもあるトランプ氏は、その過激な発言がメディアを騒がす一方で、「アメリカファースト」を旗印に人心を引きつけた。トランプ氏の勝利に端を発した「トランプ現象」と呼ばれるポピュリズムの潮流は欧州にも波及し、各国でポピュリズムを台頭させた一因となっている。このトランプ氏勝利の衝撃は世界にどのように影響を与えたのか?「10MTVオピニオン」では、いまのアメリカを取り巻く状況、トランプ氏の外交政策、経済政策など、大統領としての手腕を評価・解説する。

日英同盟

日英同盟は、1902年に日本とイギリス両国間で締結された攻守同盟条約。ロシアの南下を牽制することを主目的とした。朝鮮・中国における日本の、中国における英国の利益擁護のために双方がとる行動を承認するとともに、締約国の一方が2か国以上と交戦する場合、他方は参戦の義務を負うものとされた。1904年の日露戦争勃発の際、イギリスは表面的には中立を装いつつ、諜報活動やロシア海軍へのサボタージュ等で日本を大いに助けた。1905年と1911年に改定される。日本は第三次日英同盟に基づいて、連合国の一員として第一次世界大戦に参戦した。一次大戦終了後、ヨーロッパでは国際平和を願う国際連盟が発足し、1923年には日米英仏の四カ国条約交換に伴って日英同盟は失効する。すでにロシア帝国は1917年のロシア革命で滅んでいた。「10MTVオピニオン」では、衆議院議員で第95代内閣総理大臣を務めた野田佳彦氏が、国家経営のための日米同盟を守るために、日英同盟の歴史を振り返ることが必要だと語る。また、歴史家の山内昌之氏や評論家の故・渡部昇一氏は日英同盟破棄によってもたらされた日本の危機を検証している。

日米同盟

日米同盟は外交安全保障の基軸となる重要なテーマであり、たびたび議論になるテーマでもある。 2017年、北朝鮮の核、ミサイル開発問題がアメリカを巻き込んで東アジアを揺るがす中、日本の安全保障が問われている。日米同盟についての専門家の見方もさまざまだ。政治学者でコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏は、大統領選挙では日本の安全保障政策を批判していたトランプ氏だが、大統領就任後は批判をすることもなく、安全保障政策については軍人に任せており、国防長官、国土安全保障長官のコメントからも日米の安全保障関係は非常に良好であるとみている。筑波大学名誉教授R・ターガート・マーフィー氏は日本の安全保障にとって、アメリカに頼り続けるのは究極的には危険であるとし、日米安保体制の見直しを提案している。「10MTVオピニオン」では、日米同盟のあり方と今後について、専門家が解説する。

日露関係

日本とロシアは関係正常化に向け、2016年12月15日に山口県で、2017年4月27日にはモスクワで日露首脳会談を行っている。日本側の狙いは択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の元島民の墓参拡大も含めた北方四島の領土問題解決に向けての足固めにあるのに対して、ロシア側の関心は経済協力の一点に向いている。このため、北方領土での共同経済活動の具体化へ向けた優先事業のリスト化などで、安倍・プーチン両首脳は合意しているものの、大きな進展は見られないままとなっている。ロシアにとっては、極東における最大の脅威はもはや日本ではなく中国であること、北朝鮮問題、シリア問題などで米露が対立していることなどが、日露両国の領土問題に対する温度差となって表れているのではないかと見られている。「10MTVオピニオン」では、東京大学名誉教授の山内昌之氏が、地政学的観点も踏まえて日露関係について解説。プーチン大統領が自国の利益を第一に外交手腕を発揮し、ユーラシア全体を見据えていることは明らか。「日露関係」といえども、日本は日露の二国間だけでなく、世界の中でのロシアとの関係を考えていかなければならないと、山内氏は見解を示している。

日中関係

1972年に田中角栄首相と周恩来首相の間で日中共同声明が調印され、国交が正常化した日本と中国。近年では、中国人観光客による家電製品、医薬品、化粧品などの「爆買い」が話題になる一方で、歴史認識問題、尖閣諸島領有問題など、日本と中国の政府間の関係は良好とは言えない。「10MTVオピニオン」では、中国の事情に詳しい作家の石川好氏が中国と関係を築いていくのはなぜ難しく、それは中国のどのような考え方に基づいているのかを解説、また、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之氏は「日中強調発展のための4つの前提条件」として、関係改善・民主導経済・文化交流促進・歴史認識相互理解を挙げ、それぞれどのようなことかを解説する。

熱水鉱床

熱水鉱床とは、地下の火成活動によってできた熱水溶液が岩石の割れ目に入り、沈殿したり母岩の一部と交代して生成した鉱床のこと。ここでは主に、さまざまな鉱物資源が溶けた高温高圧の海水が、海底で結晶になって堆積した「海底熱水鉱床」についてとりあげる。熱水鉱床から採取されるマンガン団塊、コバルトリッチクラスト、レアアース泥などは、高品質の海底資源として近年、大変に注目を集めている。特に、日本では沖縄の海底に豊富な鉱物資源が潜んでいることが判明し、期待されている。海洋資源が大きな可能性を持っていることは長く議論されてきたものの、「海底のことはよく分からないから」と敬遠されてきた。そこで、今、日本は海底での探索、作業を行う自律型ロボットの開発に力を入れている。「10MTVオピニオン」では、九州工業大学社会ロボット具現化センター長として実際にロボット開発に携わっている浦環氏(東京大学名誉教授)が、熱水鉱床、自律型ロボットについて解説。「海洋資源を活用するには、まず海を知ろうとしなければならない」を信条とする浦氏の話は、未知なるものに対する姿勢、研究開発に最も必要とされる統合力、海底鉱物資源開発基地に関する未来構想など、多岐にわたる。

原敬

原敬(1856~1921)は、盛岡出身の政治家。政治家としてのキャリアは外務次官、衆議院議員、逓信大臣、内務大臣、司法大臣、立憲政友会第3代総裁、および第19代内閣総理大臣(1918~1921)。政党政治を確立したほか、高等教育の充実、鉄道網や通信手段の整備・拡による地方の振興、選挙資格の拡大、外交方針の変更など、国内外に対して政治的手腕をふるったが、1921年東京駅にて右翼の一青年に暗殺される。「平民宰相」「暗殺」、この2点で語られることの多い原敬だが、「10MTVオピニオン」では、自由民主党衆議院議員・齊藤健氏(農林水産副大臣)が、「まれに見るスーパージェネラリスト」とその超絶指導者ぶりを高く評価している。齊藤氏は、原敬が官僚・実業家・政治家としていずれも頂点を極めた存在であることに着目。特にビジネスの面では、古河工業の副社長、北浜銀行の頭取、大阪毎日新聞の社長などを務め、その先見の明、的確な大局観は政治家になってからの政策にいかんなく発揮されている。齊藤氏は、原が軍部の独走を抑え、アメリカとは協調路線、中国とは対等なビジネス関係を保ち、日本の転落を防ごうとしていたことに言及。原敬を通して、「優秀な人間が徹底した努力をすることによって、世の中は動く」ことを強く語っている。

非婚化

日本が抱える社会問題の一つとして少子化が挙げられるが、その最大の要因とされるのが非婚化・晩婚化である。日本の生涯未婚率は2015年の国勢調査で、男性で23.37%、女性で14.06%に上ったことが明らかとなり、結婚離れはまぎれもなく進んでいる。この傾向は当然、深刻な出生率低下という問題につながっている。今まで、第二次世界大戦後の「団塊の世代」を生んだ第一次ベビーブーム、この世代が親となった昭和46~49年頃の第二次ベビーブームがあった。ここで生まれた「団塊ジュニア」世代が結婚、出産年齢を迎えることで、21世紀に入ってから間もない時期の第三次ベビーブームが期待されたのだが、実際には非婚・晩婚の進展により出産年齢は広く分散。第三次ベビーブームは起きなかった。2012年、少子化対策担当大臣の任命とともにようやく政府は非婚・晩婚問題を取り上げ始めたが、政策の立ち遅れ、出生率見通しの読み違いなどが、今なお大きく影響している。「10ミニッツテレビオピニオン」では、慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏、内閣府本府参与・齋藤ウィリアム浩幸氏らが、非婚化問題を分析。日本政府が自ら作った落とし穴を鋭くえぐり出し、非婚化の原因、背景、今後の課題について忌憚なく語る。

ファナック

 ファナックは、日本の電気機器メーカー。社名のFANUCは「Fuji Automatic NUmerical Control」の頭文字。「富士通ファナック株式会社」として1972年に設立されているように、旧財閥系の古河グループに属している。本社、研究所、工場が富士山麓に位置する一風変わった環境と社風でも有名。  安川電機、ABBグループ(スイス)、クーカ(ドイツ)と並ぶ、産業用ロボットの世界4強メーカーの一つ。工作機械用CNC装置で世界首位、多関節ロボットで国内首位のシェアを占めている。強みを持つ産業分野は航空宇宙、自動車、コンシューマむけ製品の工程自動化。2011年にTOPIX Core30銘柄の一社に選ばれた。「10MTVオピニオン」では、エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役の大上二三雄氏が、日本型経営に徹しながらイノベーションを起こし続けるユニークな企業例として、ファナックのビジネスモデルを分析している。

ファミリービジネス

ファミリービジネスは、創業家一族が所有し、経営における実質的な支配権を行使する企業をいう。ファミリーによって所有・経営されている企業は、世界の企業数の約70%を占め、日本では95%の割合である。一般的にファミリービジネスというと中小企業のイメージがあるが、トヨタ自動車、竹中工務店、サントリーなどの上場企業や、出版・マスコミなど非上場企業の多くもファミリービジネスに該当する。特に地方におけるファミリービジネスには、100年以上続いてきた老舗が多く、雇用・生産などの経済活動にとどまらず、文化・スポーツ支援、政治など、さまざまな領域で影響力を及ぼしている。「10MTVオピニオン」では、東京大学大学院経済学研究科で教授を務める柳川範之氏による「ファミリービジネスとAI」のセミナー講演を紹介。新時代の経営を牽引するキーワードとして、ファミリービジネスの知恵と力が語られている。

BREXIT(ブレグジット)

「BREXIT(ブレグジット)」は、Britainとexitを合わせた合成語で、イギリスが欧州連合から脱退することを指している。2016年6月23日、保守党キャメロン首相により「イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票」が行われ、僅差でEU離脱への投票が残留派を上回った。その背景にはEU政策に対する不信、移民流入問題があるとされる。離脱決定後は同党のテリーザ・メイ首相が内閣を発足し、BREXITの具体化を「ハード・ブレグジット」として推進してきた。マニフェストによれば、「EUの単一市場と関税同盟から離脱する一方、EUとの深い特別なパートナーシップを模索する」「円滑で秩序あるBREXITを確実に行なう」「EU離脱に際してイギリスの権利と義務について公平は決着を断固として目指す」「EU法をイギリス国内法に移し替えるために『Great Repeal Bill(大廃止法案)』を成立させる」など。しかし、保守党は2017年6月の総選挙で敗北を喫し、国民投票後1年を迎える時点でなお、BREXITの具体的な交渉の行方は分からなくなっている。「10MTVオピニオン」では、慶應義塾大学大学院教授の曽根泰教氏が国論を二分する国民投票の怖さを指摘。また、経済学者で首都大学東京理事長を務める島田晴雄氏は、離脱交渉には10年以上を要するとみて、今後のイギリスのあり方を注視するよう呼びかけている。

プラチナ構想ネットワーク

地球温暖化や高齢化などの課題を日本が再生・成長するためのチャンスと捉え、地域の持つ力(ネットワーク)で対応し、課題解決しようとする三菱総合研究所を主体とした取り組み。発起人代表は第28代東京大学総長で三菱総研理事長を務める小宮山宏氏である。プラチナ構想ネットワークでは、21世紀の日本が目指すべきビジョンを「エコロジー」「資源の心配がない」「老若男女の全員参加」「心もモノも豊か」「雇用のある社会」の五つを満たす「プラチナ社会」と策定、そのための運動論として「プラチナ構想ネットワーク」の組織化を推進している。また、理念の普及のため、プラチナ大賞、プラチナシティ認定のほか、シンポジウムや懇談会も精力的に行なっている。「10MTVオピニオン」では、同ネットワーク会長の小宮山宏氏が、プラチナ社会やプラチナ未来人をテーマとしたさまざまなレクチャーを展開。2050年に向けた課題解決を提案している。

ヘロドトス

ヘロドトス(BC485頃~BC420頃)は古代ギリシャの歴史家。ペルシャ戦争を題材とした人類最初の本格的歴史叙述とされる『歴史』を著した。この書ではギリシャのみならずオリエント世界についての歴史、地理についても書かれており、ローマの弁論家キケロがヘロドトスを「歴史の父」と賞賛したことはよく知られている。『歴史』の記述については、物語性も高く分かりやすい内容として評価されているものの、一般的には史実としての信ぴょう性を疑問視する見方もあり、後の古代アテナイの歴史家トゥキュディデスによって書かれた『戦史』を、より実証的な歴史書として評価する声も少なくない。しかし、「10MTVオピニオン」では、歴史学者であり無類の読書家でもある山内昌之氏が、「ヘロドトスのような叙述や物語が新しい歴史理解を生む」と、独自の見解を示し、また、ヘロドトスの叙述的で豊穣な世界とトゥキュディデスの科学的分析による歴史観、この双方が相まって歴史学のジャンルが確立されたと言ってよいと述べている。山内氏は巨額の借金で話題となったギリシャ危機についても、ヘロドトスの名言等を引き合いに出しながら、歴史家ならではの視点で解説を行っている。

法隆寺

飛鳥時代の姿を今に伝える世界最古の木造建築。1993年に世界遺産に登録された。塔・金堂を中心とする西院伽藍と、夢殿を中心とした東院伽藍から成る。当初は、用明天皇が自らの病気平癒を目的に伽藍建立に着手したが、その完成前に崩御したため、その遺志を継いで推古天皇と聖徳太子が607年に仏像と寺を完成させたと伝えられている。その後、670年に火災により全焼するが、その後再建された。「誰が再建したのか」をはじめ、法隆寺、聖徳太子に関する謎は今なお多く残されているが、「10MTVオピニオン」では法隆寺管長・大野玄妙氏が「法隆寺は聖徳太子と共にある」という観点から、多くの謎に言及。聖徳太子がなぜ仏教を取り入れ、日本古来の神と仏を同列に扱うという世界でもまれな宗教観を確立したのか、その精神はその後の日本にどのような影響を与えたのか、なぜ聖徳太子は「日没する処の天子」と中国皇帝に手紙を送り、また、なぜ皇帝はその言葉に怒らなかったのか等々、歴史の教科書では知り得ない謎を解き明かしていく。法隆寺と聖徳太子の関係を知れば知るほど、日本古代史の奥が見えてくる。

ホロコースト

ホロコーストは、ギリシャ語で「火に焼かれたいけにえ」を意味する言葉で、17世紀末に「大虐殺、皆殺し」を意味するようになった。現在ではもっぱら、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺をあらわす言葉として知られている。ナチスによるユダヤ人迫害は1933年のヒトラー首相就任1か月後に始まり、戦争中に約600万人のユダヤ人が殺されたといわれる。ホロコーストは、ユダヤ史上でも、また人類の歴史上でも前例のない、もっとも残虐なできごとであるが、その背景には長年ヨーロッパ社会で培われていた反ユダヤ主義による偏見と憎悪の伝統があったとされる。1948年の国連総会において、大虐殺という犯罪は「明確な意図を持って国家、文化、人類、宗教などで結ばれた人々を全員あるいは一部、殺戮する行為」と定義されたが、ホロコーストはその実例である。  「10MTVオピニオン」では、歴史学者で国際関係史に詳しい山内昌之氏、経済学者で自らが設立した団体「島田村塾」メンバーを率いてイスラエルやアゼルバイジャンなど、各国を歴訪する島田晴雄氏が、ホロコースト問題をレクチャー。歴史の一コマとしてではなく、未来に活かす知恵を育むための見方を示唆している。

ポンド安

ポンド安とは、外国為替相場で外交通貨に対してイギリス通貨のポンドの価値が低くなっている状態を言う。2016年6月の国民投票によるイギリスのEU離脱(ブレグジット)、原油安、そして、2017年6月のイギリス総選挙では、与党保守党の議席が過半数割れなど、近年ポンドの全面安の局面が続いている。イギリスに進出している日本企業の数は非常に多く、また日本の対イギリス直接投資額もアメリカに次いで世界第2位と巨額である。このことからも、ポンド安でイギリスの景気が悪くなれば日本の輸出産業が落ち込み、経済全体に影響を及ぼすことは必須である。「10MTVオピニオン」では、シティグループ証券チーフFXストラテジストの高島修氏が、ポンド安の背景としてイギリスの経常赤字の要因が非常に大きいと指摘。世界各国では貿易収支が改善傾向にある中で、イギリスの経常赤字が拡大し続ける状況を分析、ユーロ圏の構造問題という根本の要因をとりあげ、解説している。また、慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏をはじめ多くの講師陣が、ポンド安に影響の大きいブレグジット、イギリス総選挙結果などに関する詳しい解説を行っている。

民主主義

民主主義(デモクラシー)の語源は、「demos(人民)」と「kratia(権力)」を結びつけたギリシア語の「demokratia」で、人民が権力を握り、みずからそれを行使する政治を意味する。君主政治や貴族による寡頭政治と対立する「多数者の支配」が最大の特徴である。古代には愚民政治と同等視されて嫌われることの多かったこの政治形態が見直されたのは、17~18世紀の市民革命の中で生まれた啓蒙主義以降のことである。近年、民主主義の危機が叫ばれはじめているのは、冷戦終結後のグローバリズム視点により、右翼・左翼という伝統的な政治分類に加えて「リベラリズム対ポピュリズム」の対立軸が加わったことが原因とみられている。 「10MTVオピニオン」では、多くの講師が現在曲がり角にきている民主主義について再検証。日本の戦後民主主義を考えるテーマもあれば、台頭する中国・ロシア・イスラム世界が標榜する「普遍」による政治と民主主義を対照してみる試みもある。不透明な世界の本質を直視するため、民主主義という価値観の見直しが今、求められているのだろうか。

リーダーシップ

リーダーシップの定義は、チームの数だけあると言えそうだ。「10MTVオピニオン」では、政治、学術、企業、医学など、さまざまな方面で活躍する講師陣が、自らの体験や交友関係、読書や先人の知恵などを通して、指導者に求められる資質や能力について、熱く語っている。例えば老荘思想研究者の田口佳史氏が儒家思想におけるリーダーの見本として禹王の治水の業績を引けば、ローマ氏研究家の本村凌二氏は古代ローマでカリスマ性を発揮したカエサルがなぜ暗殺されたかを語る、という具合だ。新しい着眼点としては、順天堂大学医学部教授の堀江重郎氏が、「リーダーシップのホルモン」としてテストステロンとオキシトシンを取り上げている。さまざまな企業におけるトップ人事を比較して経営戦略について語るのは、エム・アイ・コンサルティンググループ代表取締役の大上二三雄氏。「くまモン」を前面に押し立てて熊本県政を改革し続ける知事蒲島郁夫氏、全寮制国際高校インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢を「世界を変えるリーダー」育成のために創設した小林りん氏など、ヒントは意外なところから発見できそうだ。

レアアース

レアアースは希土類とも呼ばれる元素である。31鉱種あるレアメタルの中の1鉱種で、スカンジウム、イットリウムと原子番号57のランタン以下のランタノイド族の計17元素の総称。分離しにくいため、多くは混合希土(ミッシュメタル)として利用されてきた。分離・精製技術が進歩した近年では、光学材料、電子材料、水素吸蔵合金などに利用されている。ジスプロシウムはエコカーの小型モーター、セリウムはパソコン部品の研磨剤など、先端技術製品の製造に不可欠であるため、「産業のビタミン」と呼ばれる。中国などに1万年分以上が埋蔵され、全世界生産量の97%を占めるが、2010年の中国の輸出制限により価格が50倍に高騰した種類もあった。「10MTVオピニオン」では、レアメタル研究の第一人者である東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏がレアアースやレアメタルの重要性と可能性、世界の現状について、さまざまな角度からレクチャーしている。

レアメタル

レアメタルの重要性や将来性は、これまで一部の専門家しか認識していなかったが、近年レアメタルへの社会的関心が高まってきた。ハイテクに支えられた現代生活は、もはやレアメタル抜きには成り立たない。さらにレアメタルは電子機器だけでなく、東京・浅草にある浅草寺の屋根瓦や羽田空港の滑走路にも使われている。それらのレアメタルのほとんどを輸入に頼る日本では、世界情勢の変化による資源調達の波は死活問題となる。「10MTVオピニオン」では、レアメタルの第一人者であり、世界中の鉱山や精錬所を見て回っている東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏が「レアメタル」とは何なのか、そして、今後の日本の資源戦略上の重要ポイントを解説する。

レジリエンス

レジリエンスとは、自身にとって不利な状況やストレスを受けた時の、精神的な回復力、防御力、復元力を意味する言葉。「脆弱性」と反対の概念であり、主にメンタルヘルスの領域で注目され始めたが、近年では、災害やテロに対する「防災力」といった観点からも語られるようになってきた。「10MTVオピニオン」では、内閣府本府参与である齋藤ウィリアム浩幸氏が、日本のサイバー・セキュリティ事情や東日本大震災後の福島原発事故を例にとり、日本のレジリエントな体制に関する問題点、レジリエンスを培うには今後どのような対策が必要かについて述べている。齋藤氏は、人的なものにせよ自然災害にせよ、「分厚いマニュアルを準備して、パーフェクトに備える」という発想から脱して、いかに早く回復する体制を作れるか、いかに皆が相互補完的に動くチーム力を発揮できるかが重要だと説く。そのためには知識を知識で終わらせず経験に生かす、失敗は悪ではないと教える教育が鍵となってくると言う。また、老荘思想研究者の田口佳史氏も、しなやかだからこそ強い柳や、何にでも合わせられる柔軟さと石をもうがつ強さをもった水を例に、老荘思想から見た現代人に必要なレジリエンスについて解説している。

老荘思想

老荘思想とは、老子、荘子に代表される道家の思想であり、孔子の儒家思想と並び称される中国古典の二大思想の一つ。道家で説く「道」とは宇宙の根源を意味するダイナミックな思想だが、その基本は過度を戒めるもの。実力が伴わないのに過度に求めることや、名前や肩書きに踊らされ、実態以上の自慢をすることなど、徹底して過度であることの恐さを説いている。ダイナミックでありながら、程をわきまえた軽さを尊ぶ思想である。このような思想を象徴する存在として、老荘思想では「水の精神」を掲げている。むやみに争わず周囲から吸収して自らを豊かにする。水滴が石に穴をあけるようにやり続けることで比類ない強さを見せる。無形でありどこでも入っていける。これほどの存在でありながら、決して過度に陥ることなく謙虚に低い方へ流れていく水。この水の精神を、老荘思想は根幹としている。 「10MTVオピニオン」では、老荘思想研究の第一人者である田口佳史氏が、人類の指針となる教えとして、さまざまな事例も交え、老荘思想を解説している。世界のいたるところで、「自国ファースト」が横行する中、人類はもう一度宇宙の根源を見つめ直す必要がある。